新国立競技場 チームプレイが何より

総工費、財源、屋根の有無、採算性、そもそもこの問題は誰の責任なのか等、問題だらけのこの話題、一昨日、ようやく大きな決断がなされました。皆さんも耳にたこができたのではないでしょうか。今日は新国立競技場の建設計画白紙について考えていこうと思います。果たして首相の決断は吉と出るのでしょうか。

17日、安倍首相は2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画を白紙撤回しました。ゼロベースで見直すことを強調し、白紙撤回の理由については、大幅なコストの膨らみなど、国民やアスリートからの大きな批判を受け、このままではみんなで祝福できる大会にすることは困難だと判断したことを挙げました。また、新計画であってもオリンピック開催までには完成できることを確認していることを発表しましたが、19年に新国立競技場で開催予定のラグビーワールドカップの開催ができなくなるなど、影響は避けられ模様です。コストを巡っては、国が都に建設費用の一部負担を求めたことに対して、舛添都知事が違法だと主張したり、デザイン案のコンペ審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏が会見を開き、2520億円にまで費用が膨らんだ理由を私も聞きたいなどと発言し、人によっては責任の擦り付け合いの構図となり、計画だけでなく、関係者間にも「亀裂」が生じ「建設的な」議論ができなくなっているような印象を持ちました。

ここから、東京オリンピックの恩恵と負担を最も受けるであろう東京都民として、この問題について考えてみましたが、リーダーシップや責任問題のような話ではなく、建設計画を取り巻く状況が原因ではないでしょうか。そもそも新国立競技場のデザイン案コンペが行われたのは、2012年の7月で、11月にデザイン案が決定しました。当時は民主党の野田政権でした。そして2012年は3年3か月続いた民主党政権の最後の年、そして衆議院の解散は11月16日でした。いわゆる「近いうち解散」です。デザイン案の決定は解散の前後ということです。当時のことを思い出した方やこのことからお気づきの方も多いかと思いますが、民主党政権の晩年は菅政権の東日本大震災への対応の悪さもあり、メディアだけでなく、国民全体からの批判も大きかった時期です。そんな政権の運営に問題のある時期に新国立競技場のデザイン案について関係者は議論を深めることが出来たのでしょうか。解散が近いと感じれば、それどころではないような印象です。そして国民の関心が向いていたのかということについても疑問を感じずにはいられません。そして政権交代後も、アベノミクス、消費増税、特定秘密保護法、そして現在若者のデモにまで発展している安保法制など、議論し解決しなければならない課題が山積みです。そのような課題を前にしては、専門性の高さもあり、デザイン案の議論は担当者や専門家ばかりで進められ、いざとという時に今回のような大問題に発展してしまったのではないでしょうか。つまり、問題の原因は、登場人物の責任問題ではなく、このテーマについて安定的に議論する環境が整備されず、政局に振り回されすぎたことが原因だと考えています。関係者の皆様には手を取り合って問題の本質を確認して頂きたいと考えているのは筆者だけではないでしょう。

いい大人同士がその時々の政権や関係者を非難し合っても何も改善されませんし、時間の無駄です。関係者が団結し、その問題の根源を知ることが問題の解決の糸口につながるのではないでしょうか。

政治もスポーツもチームプレイが大事なのですから。

参考記事:19日付、18日付各紙関連面