産業界を代表する企業であるトヨタが思い切った「家族手当」制度改革に踏み切りました。
専業主婦(夫)がいる社員には今まで月約2万円支給していましたが、これを廃止し一人当たり5千円の支給であった子どもの分を2万円に増額します。
人事院の調査によれば、家族手当の制度をもつ事業所の93%が専業主婦(夫)を対象にしておりトヨタの「家族手当」は異例の案といえます。
専業主婦でいるメリットがなくなり、働き手が増えるかつ充実した子育て支援によって人口減少に歯止めをかける、という国の政策に沿ったものといえます。
確かに耳触りがよく上手くいきそうに聞こえますが、果たして本当に実現できるでしょうか。
婚姻率は右肩下がりであり、そもそも結婚しなくなっているという事実は無視できません。配偶者の家族手当はなし、ということに全ての企業がなっても人口減少は止められないでしょう。企業がオリジナリティ溢れる福利厚生を整える、そして国がそれを補う政策をとる、という両輪の働きが欠かせないように思います。
現状の心地よい状態からは皆離れたくありません。政府が考案する政策は日本国民全員に配慮したものでなければならず、一企業の改革案のように思い切ったことはできません。
私たちのライフスタイルの主導権を握っているのは国ではなく、私たち自身です。
自分たちで決める、そして不足するところを国が補うという形が問題解決のあるべき姿だということを感じます。
参考記事
7月7日付朝日新聞朝刊(東京13版) 経済6面「トヨタ 配偶者手当廃止へ」