コロナ禍で大学がオンライン授業を導入してから講義の質が落ちた、教授とのコミュニケーションが取りにくくなった、という意見をよく聞く。今朝の朝日新聞オピニオン面にも、登校の機会が増えることを希望するという大学2年生の意見が掲載されていた。
しかし、オンライン授業もそこまで悪くない。むしろメリットも多いと、秋学期が始まって2週間ほど経った今、感じている。
1点目は、教授による一方向の講義の場合、自分のペースで授業動画を視聴することができるという点だ。視聴期限が切れるまでは何回でも復習できるし、分からないところは繰り返し解説を聞き直せる。
2点目は、大学までの行き帰りの時間がなくなり、他の予定を入れやすくなったことだ。私は現在就活生であるため、面接やインターンの予定も増えてきた。キャンパスからの移動時間を考えると途中で教室を退出しなければ、授業の30分後に始まる面接には参加できなかっただろう。しかし今では授業も面接もオンラインのため、例年よりも多くの選考機会があるように思う。
3点目は、以前よりもタイムマネジメント能力やスケジュール管理能力が身についたという点だ。対面の期末試験が行われずレポート課題が増えたのは事実だが、だからこそ自分でしっかり予定を組まなければ学期末には締め切りに追われることになる。そうならないよう、今まで以上にタスク管理をする習慣が身についた。
もちろん、オンライン授業では補えない部分もある。筆者は現在ゼミのために週1回だけ実際にキャンパスに行くのだが、対面でなければ成立しないコミュニケーションがあることを身をもって感じている。春学期はゼミもオンラインでだったが、会話のキャッチボールが常に「自分対全員」というもどかしさがあった。もちろん、オンライン授業でも参加している学生を少人数のグループごとに分けるブレイクアウト機能はあるが、グループに分かれてまで聞くことではないようなちょっとした質問や疑問点が、解消できない経験が何回かあった。
これが対面であれば、隣に座っている友人にすぐ確認したり、その場で先生に質問したりできる。「対全員」と「対個人」のコミュニケーションが同時にできるからこそ、オンラインよりも対面の方がゼミ員同士での議論が深まる気がする。
一方的な講義型の授業はオンラインで継続し、学生同士のコミュニケーションや議論ベースの授業は感染対策を取った上で対面で。オンライン授業も対面授業もそれぞれのメリットはあり、両者の「いいとこ取り」を取り入れたハイブリッド型はコロナ後の世界でも活用されていくだろう。
「画面越しのキャンパス」と、「実際に足を運ぶキャンパス」。様々な意見があるとは思うが、両方のキャンパスに私は学びの機会と可能性を感じている。
参考記事:
14日付 朝日新聞朝刊(東京13版)13面(オピニオン1) 「(耕論)画面越しのキャンパス 新型コロナ」