知らずに非難している?TikTokはこんなアプリ

今、世界中で規制が進んでいる「TikTok」。インドではすでに禁止され、アメリカや日本も排除する方針だ。いずれも「自国の利用者の個人情報が中国政府に渡る可能性がある」とする。筆者は去年の春ごろから、動画を見る目的で利用している。1年以上使ってみて、気付いた点をいくつか紹介する。

<TikTokとは?>

中国のIT企業バイトダンス社が開発、運営している動画アプリ。15~60秒の短い動画を撮影、加工し、簡単に共有できる。「曲に合わせてダンスするだけで何が楽しいの?」と不思議に思う人が多い。しかし、美味しいグルメの紹介、ペットや子供の可愛らしい様子など、ジャンルは多種多様で長時間見ても飽きないコンテンツになっている。日本では10~20代を中心に支持され、TwitterやInstagramに並ぶ、主要なSNSとして認知されている。

<TikTokの実態>

若者文化を作るプラットフォームと言って過言ではない。「マジ卍」「ぴえん」などの若者言葉をダンスや曲で表現したり、美味しいタピオカのお店を拡散したりと、情報の交換が絶え間なく続く。他のSNSと大きく違うのは「楽曲がつけられる」点だ。例えば、ある商品をSNSで紹介する場面を想像してみよう。他のアプリに比べて、TikTokはBGMを背景にオシャレな演出が簡単にできる。その利点に着目したいくつかの企業は、アカウントを作って、積極的に発信している。マーケティングにも活用されているのだ。また、有名な芸能人やアーティストなど、次々に参加している。

<三つの問題点>

一つ目は「連鎖する無断転載」。ある映画のワンシーンや、誰かが書いたイラストなどを制作者本人からの許可を取らずに投稿している。そして、他の人がその動画を保存し、投稿するという連鎖が続いている。また、曲の無断使用も挙げられる。どれも著作権侵害で訴えられる可能性があり、それを認識していないユーザーや運営者の姿勢は問題だ。

二つ目は「利用者の超低年齢化」。利用規約には13歳未満の使用は禁止されている。しかし、6歳くらいの子供でも普通に投稿している。もし、家で撮った動画に外の風景が映り込んだら、住所を特定される危険性がある。

三つ目は「大音量での撮影」。撮影時に使用する楽曲が流れる仕組みが問題を引き起こす。外では聞こえにくいので、どうしても音量を大きくする。結果として迷惑行為になってしまうのだ。

<個人的見解>

支持層が10~20代ということもあり、理解されにくいアプリだ。しかし、先述した通り、若者文化はここから始まっていると言っても過言ではない。若者にとって重要なコンテンツなのだ。そして、問題の背景には中国という存在がある。個人情報の漏洩に焦点が当てられているが、他にも問題はあるのだ。特に無断転載は厳しく対処する必要がある。

もし日本で禁止されたらどうなるのか。若者は新たな場を見つけ、そこで文化を作り出すのかもしれない。

参考記事:

15日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)2面「オラクル、柔軟姿勢で優位」

16日付 日本経済新聞朝刊(大阪12版)10面「TikTok×安保、割れる対応」