18日、警視庁は麻薬密輸の疑いで、トヨタ自動車のジェリー・ハンプ常務役員を逮捕したと発表しました。ハンプ容疑者は4月にトヨタ初の女性役員として就任しており、世界に知られるトヨタの広報担当として非常に注目を浴びていました。目玉人事として各紙大きく取り上げており、最近話題の女性管理職登用のモデルとしての活躍が期待されていました。
ハンプ容疑者は「麻薬を輸入したとは思っていない」と容疑を否認しており、豊田章男社長が17時から会見を開く予定など対応に追われています。一企業の一人の役員の不祥事に対して各紙がこれほど大きく取り上げるのは珍しく、それほどトヨタの影響力が大きいことが窺い知れます。
ロールモデルとしての役割を果たす企業が今後、外国人や女性の役員登用に消極的になれば自ずと世の中の企業全体が変化を控え、無難な人材抜擢になってしまうのではないかという恐れがあります。
政治も経営においても、個人的な不祥事で席を追われる人は少なくありません。ある特徴を持った人が起こした問題を頭から拭い去ることが出来ない。その場合能力が高いがある特徴を持っている人は信用ならないと過去の似た例を思い出し、その人の登用を見送ることはよくあることです。しかしそれは偏見的な考え方ではないでしょうか。過去を参照するにしても個別的な過ちの例は切り離して考えるべきではないかと私は思います。一回目の失敗より二回目の失敗をすることの方がより難しい決断を迫られ、チャレンジングなことをするにはハードルが高いのかもしれません。
トヨタ自動車の女性役員の麻薬密輸容疑から人材登用の難しさについて想像してみました。
学生目線の楽観的な考え方かもしれませんが、みなさんはどう思われますか?
6月19日付朝刊 日本経済新聞(東京14版) 企業総合、社会面
同日付朝刊 読売新聞(東京13版) 経済、社会面
同日付朝刊 朝日新聞(東京13版) 社会面