ヒヤッとする、あの音

あれほどヒヤッとする音はない。そう、緊急地震速報だ。

「千葉県南方沖で地震発生。強い揺れに備えてください」。昨日(30日)午前、関東で久しぶりに緊急地震速報の音が流れた。朝食を食べていた私は突然の速報にびっくりし、とりあえずキッチンの火を消した。その後身構えて待っていたが、数分経っても揺れを感じることはなかった。

テレビをつけると、「そろそろ各地の震度が発表されてもおかしくないですよね‥」「誤報なんですかね‥」と、出演者やアナウンサーの方も困惑した様子だった。結局、震度1以上を観測した場所はなく、速報で警戒を呼びかけるような規模の地震はなかった。

これに対し気象庁はすぐに会見を開き、「緊急地震速報の処理において震源を本来とは異なる位置に決定し、マグニチュードを過大に推定した」と発表。そして、「国民のみなさまには多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」と述べた。

しかし、私はこの会見に、果たして謝罪する必要はあるのだろうか、と疑問に感じた。速報がなくて突然大きな地震が来るのと、速報は来たが結果的に揺れがないのでは、明らかに後者の方が良いではないか。今回はマグニチュードが過大に推定されたとのことだったが、鳥島近海を震源とする地震が発生していたのは事実である。刻一刻を争う地震の時には、この速報があるかないかで、逃げられる時間は変わってくる。それをいち早く流した気象庁の対応は、決して謝罪すべきことではないと感じた。

今回は大きな地震がなかったのでヒヤヒヤする緊急地震速報の音だけで終わったが、実際に大地震が起きたとしたらあれは始まりの音に過ぎない。最近は大きな地震がないからこそ、今回の速報は自分の気の緩みに改めて気づかせてくれた。地震などの災害はいつ起きてもおかしくない。特にコロナ禍の今だからこそ、自然災害が起きれば人々はいつも以上のパニックに陥るかもしれない。過度に身構えるのもよくないが、災害大国日本に生きる人間として、常に災害に対する緊張感を持って過ごしたいものだ。