希望を持って祭を行える日常はどこへ

2020年7月24日。

この日に誰もが期待をし、胸を膨らませたあの過去を覚えているだろうか。

本来ならば東京オリンピックの開会式の日であった。代わりに地域を盛り上げようと日本青年会議所が「全国一斉花火プロジェクト~はじまりの花火~」と題して企画し、全国一斉に花火を打ち上げられた。五輪を契機に新しい日本の文化が始まるはずだったこの日を、コロナ禍での新しい生活を考える「はじまりの日」としてもらおうという意図があったそうだ。

新型コロナウイルスの影響で、日本そして世界は想像もつかなかった危機に陥っている。感染は日々拡大し、収束する見通しはまだ見えない。影響は言わずもがな私たちの生活にも及んでおり、コロナ禍での新しい生活が始まっている。

筆者は春学期のオンライン授業を終えて、レポートやオンライン試験の真っ只中である。通学に2時間以上かけていたこともあり、当初はオンライン授業のありがたみを感じていた。しかし、最近は直接人と会うことの重要性をひしひしと感じる。なんとなくであるが、人との関係性が良い意味でも悪い意味でも薄れてしまった気がするのだ。遠隔でのやり取りでは自分の考えている感情や想いをダイレクトに相手に届けることは難しい。もちろん受け取ることも。どうしても生のやりとりでしか伝わらないことがあるのだと、春学期を終えて感じた。

慶應義塾大学は一部授業を除き、原則オンライン授業で秋学期を開講することになっている。当たり前のように行っていた合宿や飲み会、対面授業がこのコロナ期間で大学生の私たちから奪われてしまったと言っても過言ではない。更に所属する三田祭実行委員会では、史上初のオンライン三田祭を開催することを決定した。

三田祭公式ツイッターより

三田祭を始め、多くの大学の学園祭がオンライン開催を進めようとしている。長い時間をかけて準備を今までも進めてきたが、例年通りの開催ではない形での引退は正直少しばかり寂しい。しかしその中で学祭実行委員一丸となり、史上初の試みに挑戦しながらオンラインならではの取り組みや仕掛けを考えていることは事実だ。筆者も日々オンライン会議に参加して、運営の難しさを肌で感じている。三密を避けた運営、オンラインで来場者に如何に楽しんでもらえる工夫を仕込めるかなど考えれば考えるほど悩されることばかりだ。

大学4年ということで、大学卒業までの最後の一年をこのような形で過ごすことになるとは想像もしていなかった。思い出作りの醍醐味とも言える卒業旅行も海外へ行くことは難しいだろう。国内旅行もGOTOトラベルキャンペーンで東京都が除外されたことにより、あまり歓迎されないのではないかと考えてしまう。学校のキャンパスに行けない、大人数で集まれない、旅行にも行けない…私たちは学生生活最後に何をすればいいんだろう、そう思っている大学4年生も少なくないだろう。新しい生活にいち早く慣れることで、少しでも大学生らしい活動ができる日が待ち遠しい。そして、日本に多くの人が集まり熱気で会場が湧く「祭」が行える日常が戻って来ることを願う。

【参考文献】

・三田祭公式SNS

https://twitter.com/mitasaipr

・2020年7月25日付け朝刊 感謝と希望ともす

・24日全国一斉花火

https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/news/20200714-OYTNT50036/