「小中高が良くて、ディズニーが良くて、夜のお店が良くて、大学はダメなんですか?」
「何故大学生だけは1年間オンラインなのか、友人に会うことも叶わず毎日pcを見続ける日々、気が滅入っています」
上記の発言は、「#大学生の日常も大事だ」のハッシュタグが付けられたツイートの一部である。
緊急事態宣言の下にあった異様な社会が、徐々にだが日常を取り戻しつつある。それなのになぜ大学生だけが、オンライン授業という非日常を継続しなければならないのか。「#大学生の日常も大事だ」のハッシュタグは、そんな大学生の不満とともに、拡散されている。
大学生の一人である私も、この不満には多いに共感する。しかし、かつての「大学生の日常」はもう取り戻せないのではないかと思うのだ。つまり、通常の対面授業を全面解禁するには課題が多すぎるため、もはや不可能ではないかという事だ。
例えば、大学内の教室や食堂、トイレ等々の三密をどう解消するか、授業ごとの大規模な座席移動をどう制限するか、についても解決策は見出せない。また、学生と教員は、軽症や無症状者の多い若年層と重症化・死亡しやすい高齢層という関係でもある。彼らが共存する環境をどう整えていくのかもまた難問だ。上述のような課題を解決しない限りは、オンライン授業を継続していく他ないように思う。
私を含め大学生たちは、数ヶ月前までのキャンパスライフが戻ってくるとどこか期待している節がある。ハッシュタグの「大学生の日常」というワードチョイスは、その切なる願いの現れだ。しかし、上述のような課題が山積している以上、「大学生の日常」が戻ることはあり得ないであろう。
秋学期もオンライン授業が継続することが決まり、「大学生の日常」が戻ってこないことが、いよいよ現実味を帯びてきた。そんな今、私たちが付けるべきハッシュタグは、「#大学生の日常も大事だ」ではなく、「#新しい大学生の日常を見出そう」ではないだろうか。
12日付 読売新聞朝刊(大阪13版)3面「オンライン授業 学生に不満」