エルドアン独裁政権 『もうたくさん』

メルハバ~!皆さん、こんにちは!学生スタッフの浜田です。先日、福岡のヤフオクドームではAKB48の総選挙がありましたね。筆者はテレビ画面で投開票の様子を見ていたのですが、今年もメンバーのスピーチを聞いて感動する場面がいくつもありました。さて、アイドルの総選挙は置いておいて、今月7日トルコで総選挙の投開票があったことはご存知でしょうか。筆者は去年の9月から5ヶ月間トルコへ留学していたこともあり、こちらの総選挙も目が離せませんでした。

まず、トルコの現大統領はエルドアンです。11年にわたり首相を務めた後、去年の8月末に大統領に就任しました。エルドアン率いる与党・公正発展党(AKP)は2002年の総選挙で363議席(国会定数550)を獲得して以来、長年にわたり絶対的な第一党としてトルコの政治を担ってきました。しかし、今回の総選挙の投開票では初の過半数割れ、258議席の獲得にとどまったのです。その影響もあり、トルコリラは急落し市場最安値を更新しました。

エルドアンといえば、首相在任後期から反政府デモを弾圧したり報道関係者を逮捕したり、Twitterなどのアクセスを遮断したりするなど強権的な手法が目立っていました。トルコの経済発展を第一に考えるあまりか原発誘致もエルドアンの独断で決定され、去年国内の黒海沿岸で起きた大規模な津波は、報道されることもありませんでした。留学中に「エルドアンのこと、どう思う?」と友人に聞くと、「アイツのことなんか、もちろん嫌いさ」と、ひそひそ声で友人は答えました。トルコでは、あまり大きな声で政権批判などできません。

今回の総選挙の結果で筆者が注目したいのは、野党の少数派クルド人系政党人民民主党(HDP)が大きく躍進したことです。開票前は議席獲得票数が伸びるかどうかが懸念されていましたが、同政党は80議席獲得という結果を残しました。南東部ディヤルバクルではクルド系とみられる支持者が、総選挙の結果を街中で祝う様子が報道されました。HDPは選挙で、クルド人だけでなく、性的、宗教的、民族的など様々な少数派の受け皿となったことが獲得議席数が伸びた要因ではないかと考えられます。前回の総選挙ではクルド系のうち約4割がAKPに投票していたのですが、今回はこぞってHDPに転じたようです。その理由は、去年9月トルコ国境近くにあるシリア領のクルド人の街・コバニが「イスラム国(IS)」に侵略された際、エルドアン政権が軍事介入を控えたことが大きいと見られています。筆者の通っていた大学でも、「コバニに支援を!」とクルド系とみられる学生によるデモが行われていました。「同胞を見殺しにされた」との思いを募らせたクルド系が、AKPから離反したと思われます。

エルドアンの政策運営に国民が「ノー」と訴えることができたことが、今回の総選挙の意義ではないかと考えます。「動きなくして展望なし」。今回の新たな「動き」により、どのようにトルコが変わっていくのか非常に気になります。また、この総選挙の結果が周辺国、とりわけ欧州に与える影響も注目したい点です。遠い国のことと思わずに、興味関心を持つとトルコは意外と面白い国ですよ。それでは皆さん、イイギュンレ~ル!(よい1日を!)

 

参考記事:

10日付 朝日新聞朝刊 (大阪14版)11面(国際)「トルコ党首、辞職へ」

同日付 読売新聞朝刊 (大阪14版)6面(国際)「トルコ強硬対応か クルド政党躍進で」

同日付 日本経済新聞 (大阪14版)7面(国際)「トルコ、連立協議始まる 大統領権限など溝深く」

 

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各紙 8日付朝刊・朝日新聞夕刊、9日付朝刊