来年の大学入学共通テストは予定通りの日程で実施されます。文部科学省と高校、大学の各団体が17日、合意しました。追試は新型コロナウイルスの潜伏期間をふまえて2週間後に設定するなど、感染対策を配慮したものになっています。
出題範囲の削減など、検討すべき問題はまだありますが、日程が決まったことは評価出来ます。しかし、新たな問題も浮上しています。それは、大学入試に関する金銭的な不安です。夏のボーナスが大きく落ち込む予測を調査会社が次々と出しています。08年のリーマンショック以来の大幅減になるという見方さえあります。新型コロナウイルスの影響に伴って、保護者の給料が減っている、もしくは今後減ることが予測され、戸惑っている受験生が多いのです。私のアルバイト先の予備校では、「(私立に比べて)お金のかからない国立に行きたい」「受験予定校を減らしたい」という生徒も出てきました。
私の大学入試では多額の費用がかかりました。入学検定料に加え、交通費、宿泊費など様々です。仮に私の受験期がコロナ禍の状況にぶつかっていたら、真っ先に削るのは検定料だったでしょう。つまり受験校を減らす選択です。なぜなら、1回あたり35000円前後とかなり高額だからです。
受験校を減らすことは、自身の可能性を狭めることにつながりかねません。ましてや、新型コロナウイルスという外的要因で受験戦略を変えさせられ、人生が左右されるということはあってはならないと考えます。国や大学は、受験生を守るという姿勢を明確に打ち出すべきです。
国は奨学金制度を充実させるべきです。これまでの条件を大幅に緩和することや、新型コロナウイルスによる保護者の減収分を奨学金で補う制度をつくることなどが挙げられます。大学側も、入学検定料の減免などの支援策を講じてほしいものです。
すでに、受験生は来年の入試を見据えて動き出しています。関係機関の協力で受験生の資金面の心配を払拭し、安心して受験できる環境を早急に整えることを切に願います。
参考記事
18日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面 「共通テスト「予定通り」」
同日付 読売新聞朝刊(東京13版)29面(社会)「共通テスト日程 合意」
同日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)1面 「大学入試 予定通り実施」
同日付 朝日新聞朝刊(東京14版)32面「ボーナス急減?家計は」関連記事9面
同日付 読売新聞朝刊(東京13版)2面(総合)「夏ボーナス 大手6%減」
同日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)5面(経済)「夏のボーナス 6%減」