「なめたらアカン?」18歳

4日、選挙権年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる公職選挙法改正案が、衆議院を全会一致で通過しました。選挙権を拡大するこの法案は、早ければ17日にも成立する見込みです。この改革で、日本の選挙はどれほど変わるのでしょうか。

18歳といえば、ほとんどの人が高校3年生だと思われます。高校3年生に選挙で一票を投じるほどの判断能力はあるのでしょうか。これは選挙権年齢の引き下げが議論される度に必ず論議になることですが、心配する必要はないと思います。18歳は親の同意があれば結婚が認められ、他にも少しずつ法の規制が緩和されていく年齢です。それ故、「大人」という存在を意識し始める年齢でもあります。また、選挙のことについてクラス内で話すこともあるかもしれません。18歳の投票には、若い視点を政治に吹き込む期待を持ってもいいのではないでしょうか。

ただし、同時に心配も覚えます。それは、1回目の選挙の後に、2回目、3回目と継続的に若者が選挙に行くようになるのか、というものです。総務省調査の年代別投票率を見ると、初めて選挙権が与えられる20歳は、21歳から24歳よりも高い投票率をマークしているのです。つまり、初めての時は投票に行くけれども、その後投票所から足が遠ざかる人が多いということです。18歳に選挙権を引き下げることで、この問題が拡大してしまうのではないかと危惧しています。

こうした副作用を阻み、19歳以降も投票に行く習慣をつけさせるには、中学高校での政治教育が必須であると私は考えます。選挙制度を教えるだけの授業はやめ、現在の政治の場では何が起こっているのかを取り上げながら、子供たちに政治や選挙を肌で感じさせるべきだと思います。国政が難しい状況にあるなら、地元の市町村議会で何が議論されているのかを考えるだけでも十分勉強になります。「地方自治は民主主義の学校」とよく言われるのですから、地元のことを考えることはとてもいい勉強になるのではないでしょうか。

選挙権年齢の引き下げに関連して、「大人の定義」の引き下げも議論されています。20歳未満が公職選挙法に違反したときの措置から始まり、一票を投じるならそれ相応の責任も負うべきだとする意見があるようです。これについては、法律ごとに個別に考えるしかないでしょう。飲酒喫煙を規制するような未成年を守る法律なのか、それとも判断力が未熟だとして規制している法律なのか。これこそ、将来の大人のために、すでに大人である私たちが考えねばならぬ課題ではないでしょうか。

参考記事:5日付朝日新聞朝刊(東京13版)3面「18歳投票 政治変えるか」

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