悪いのは自転車だけ?

最近、電動自転車を購入し、用もないのに毎日乗っている筆者です。安全運転をしているつもりですが、事故に遭遇しかけた経験もありますし、ほぼ毎日、危険な運転も目にします。今日からルールが厳しくなりますが、自転車にだけ規制が厳しくなることには疑問があります。今日は本日施行の改正道路交通法について考えてみたいと思います。

今日1日から、改正道路交通法が施行されます。改正前の道交法で違反とされていた悪質な運転の中でも、信号無視や酒酔い運転、交差点での一時不停止、通行区分違反など14項目を危険行為と規定し、3年以内に2回以上摘発された14歳以上の運転者は刑事処分とは別に安全講習の受講が義務づけられます。3か月以内に受講しない場合は5万円以下の罰金も科せられます。警視庁によると、2014年度に交通事故で死傷した自転車運転者10万6427人のうち、約64%にあたる6万7876人が信号無視など、道交法違反に問われるケースであったことや同年の交通切符の交付が7716件と取り締まりを強化した06年の30倍と大きく増加したことなど、運転マナーの乱れが増加し、それが大きな事故につながっていることから改正に至ったとみられます。

筆者この改正には少し疑問を感じています。今回の改正で危険行為と規定された行為は信号無視や酒酔い運転など、明らかに危険な行為が殆どです。自転車は軽車両、自動車と同じ、危険行為は取り締まられるべきでしょう。今回の改正は運転者のマナーが原因になっていることも前述した数字を見て明らかになっています。しかし、原因はそれだけでしょうか。今回危険行為と規定されたもの中には、通行区分違反や路側帯での歩行者妨害など、狭い道や混雑した道なら頻繁に発生するようなものも含まれています。筆者の暮らす都心部は歩行者、自転車、自動車の全ての交通量が多いにも関わらず、道が狭く、混雑しています。通勤時間帯に歩行者が車道を歩くことも珍しくありません。そんな状況ならば事故は起きて当然なのではないでしょうか。つまり、街の交通環境というものも原因の一つと考えられます。そしてそれを全て自転車の責任として法改正を行うということに対しても疑問を感じずにはいられません。

全員がマナーをも守ることで事故が無くなることが理想ではあります。しかし、事故はマナーを守っていても発生してしまうものです。利用者側の責任として交通マナーを守るのと同時に、法律で規制するだけなく、事故を起こさない街をつくるということも行政の責任なのではないでしょうか。「悪いのは全て自転車だ。」 筆者の目にはこの改正がそのように映りました。

参考記事:1日付朝日新聞朝刊(東京14版)35面(社会) 「自転車 その運転が『赤切符』」

同日付読売新聞(同版)1面 「自転車 危険運転で講習」、33面(社会) 「自転車 凶器になる」