コロナ禍で必要なのは

新型コロナウイルスの影響で多くの大学はオンライン授業へと切り替えての新学期がスタートしています。

そんな中、SNS上では「大学への学費減額請求」の署名運動が盛んになっています。学生からの、大学側に対する様々な不満の声も耳にします。私の周りの学生や、教授と連絡をとり、それぞれの状況を取材しました。

 

◇大学側に学費減額請求?

「学費と見合ったサービスを得られていない」という学生の訴えがあります。ここで私が考えるのは、「授業料」「施設設備費」の対価は一体何なのか、ということ。何を得るために大学に行っているのか?大学のHPやパンフレットから、建学の理念や学生に身につけてもらいたいことを読んでみると、改めて考えさせられました。一単位何円、授業一回何円とよく計算されることがありますが、実際はそこにお金が払われているわけではありません。

普段お世話になっている教授にお話を聴くことができました。

「従来の15回で学生が学べることを12回でもやるように言われている。リモート授業をしたり、それで足りない部分を学生に自習で補ってもらったり。ただ教科書を読んでとほったらかしにするわけではなく、どういった観点で読めばいいのかを示し、学生が学びを身につけられるよう課題を出しそのチェックもしている。」と言います。

それは、いつもやっていることではありません。「もしも教員や学校職員の労働の対価として学費が払われているのだとすれば、逆に増額してほしいくらい(笑)」と付け加えてくれました。

また、施設設備費に関してはどうでしょうか。これは、月々の施設の利用料にとどまらず、建物などのハード面の償却、さらにはリモート授業の設備などにも使われるでしょう。今は家にいながらも授業やレジュメにアクセスできますし、zoomのチャット機能を使えば、授業中気軽に質問を送ることができるなど、オンラインはデメリットばかりではないことにも気づきました。

もちろん、これは一般的な文系学生に当てはまる話で、理科系ならば本来支える実験室や実験器具なども施設設備費に入っていることでしょう。

大学の対応に対して、「どんなクソ授業でもでっち上げる気」「準備不足」という厳しい批判の声もあります。しかし、自分や自分の近くのことしか考えていないように思えてなりません。この状況でも、予定通りの年月で卒業できるだけの学びを提供できるよう手間と苦労をかけている職員や教員のことは、考えているのでしょうか。

 

◇映像授業は15コマ中2コマだけ

新しい体制を整えようと奮闘してくださっている教授、職員の方がいる一方で、こんな新一年生の話も聞きました。

数学科の学生ですが、週にある15コマのうち 、リモート授業は2コマだけ。残りはweb上で数学の問題を出して「解いて自習をしてください」と言われただけ。わからないことがある場合にチャットで質問できる授業もいくつかあるようですが、これでは疑問の解消は難しい、と嘆いていました。対面で顔を見ながら説明してもらうのとでは、理解度がまるで違います。こちらは、あまりにも学生の状況を理解できていないように思います。

インターネットの発達によって、こんな状況でも授業を進められるようにはなっていますが、離れている分、他人の事情に思いを致すことが難しくなっているように思います。不安、不満はたくさん生じますが、別な立場に置かれた人々を念頭に置いて、発言していきたいものです。