「今夜空いてる?よかったらご飯食べに行かない?」
つい最近送られてきたLINEのメッセージ。思わず言葉を失った。不要不急の外出自粛要請が相次ぐ中、なぜここまで楽観的なのか。SNSやニュースを見ても「理解できない」という声が多い。なので、今回は実際に周りの友人から話を聞き、いくつか印象的なコメントを紹介する。「なぜ不要な外出をするのか」を若者目線から紐解いていく。
友人A(20代男性)はこのように話す。
「感染して亡くなるのは高齢者であって、若い人は大丈夫」
たしかに若年層ほど症状は軽く、高齢になるほど重くなる傾向が報告されている。しかし、海外では10代、20代で悪化し、亡くなった事例が発表されている。この発言から「自分が死ぬかどうか」という、自分中心の考えで行動している姿が浮かび上がる。自己防衛の意識は高いのかもしれないが、他人の存在を想定していない。言い換えれば、自分さえ健康であれば良いと考えている。
そして友人B(20代女性)は躊躇いもなく話した。
「インスタでみんなが遊んでいるから。自分ばかり我慢しても馬鹿みたいだ」
それを聞き、早速インスタグラムを開いてみた。すると、卒業する先輩方の晴れやかな写真、春休みを満喫している様子など世間とは全く違う光景が広がっている。さらに、投稿から24時間で自動的に削除される「ストーリーズ」では、気軽に投稿できるので大胆な行動が見られた。それを見て、我慢することがバカバカしくなるのも理解できる。
また、彼女の発言で気になったのは「みんな」という言葉だ。ここで言う「みんな」とは、身近な友人のことを指しているそうだ。つまり、周りの様子を見て行動している。いくら有名な人が感染しても、見知らぬ人が忠告しても、「近くに」居ないから現実味がない。
「周りの人が感染したら、行動に移すよ」
友人C(20代男性)は素っ気ない返事だった。感染は防げない、終息の目処が立っていないことに対する諦めのような感情が伝わってくる。
コロナウイルスという存在が現実味を帯びていない。そして、彼らに共通するのは他力本願であること、自分で考えて行動していないことだ。「誰かが助けてくれる」「周りがしているから自分も」という思考だ。
理解されない若者の振る舞い。自粛を徹底させるには威圧的な言葉で迫るのではなく、身近な同年代の若者が「自分は自粛している」といった情報を、SNSで拡散させるほうが有効なのかもしれない。つまり、横の関係が重要なのだ。偉そうなことは言えないが、「人の振り見て我が振り直せ」である。
参考記事:
朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞朝刊 各紙コロナウイルス関連記事