問われるオリンピックの必要性

世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な流行を意味するパンデミックの状態だと表明しました。そして、開催予定日まで半年を切った東京オリンピック。予定通り開催するのか、延期または中止するのか、様々な議論がなされています。

世間と運営側に、すれ違いが生じています。世間では「中止か延期するべき」という意見が多数で、運営は今年の開催に向けて準備を進める方針です。しかし、正直に言って不安しかありません。そう感じる要因の1つが、大会組織委員会の森喜朗会長の発言です。ウイルスの終息を神頼み、マスクをしないで最後まで頑張るといった旨のコメントは、どこか他人任せで見当違いな印象を受けました。

オリンピック関連のニュースを見てきて、本当にその文化は必要なのかと疑問に思いました。また、「なぜ4年に1度に拘るのか」「なぜ開催国は1つでなければいけないのか」など、考えれば考えるほど浮かびます。

歴史を紐解くと、初期のオリンピックは「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことを目的に掲げていました。しかし、時代の変化と共に少しずつ商業的な面が強くなり、今では経済活動の活性化が第一の目的になっています。あくまでも観光客を自国に招く1つの手段なのです。

そのように考えると、オリンピックは経済的にリスクの大きいイベントだと思います。もちろん、雇用や観光の面ではメリットにはたらくこともあります。しかし、開催までに今回のような避けられない問題に直面すると、今までの準備が台無しになってしまいます。また施設の維持費など、閉会後もコストはかかります。

オリンピックという文化は、私たちに多大な影響を与えました。しかし、それを疑いもせず続けることに意味はあるのでしょうか。5年後には大阪万博が開催します。今更ですが、今の日本にとって必要だったのかと深く考え込んでいます。

参考記事:

13日付 朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞朝刊 コロナウイルス関連記事