採用条件に「禁煙」…追われる喫煙者たち

 

新型コロナウイルスの話題がニュースの大半を占める今日この頃。しかし、学生からするといつまでもそれだけに気を取られているわけにはいきません。今月から本格的にスタートをした就職活動。きっと大学3年生の多くは必死に情報収集や選考にあたっていることでしょう。

さて昨日の日経新聞夕刊に興味深い記事が。採用条件に「喫煙」が登場したというのです。筆者も大学生活を送るなかで、キャンパス内から喫煙所がなくなっていく光景をみてきました。しかし、就職にまで喫煙者かどうかが関わってくるとは思っていなかったので驚きです。記事では採用条件に登場した理由を以下のように説明しています。

 

狭まる喫煙者包囲網。その背景にあるのは改正健康増進法による規制強化です。受動喫煙防止を目的に今年4月から職場も原則屋内禁煙になります。規制強化を先取りし、就業時間の喫煙を就業規則で禁じる企業も増えています。企業の採用活動では、法律などの制約がなければ原則として「採用の自由」が認められています。社員に禁煙を求めるなら、採用段階から選別しようという判断です。

 

 確かに厚生労働省のサイトを調べてみると、「採用の自由」は認められていました。企業には、経済活動の一環として行う契約締結の自由があり、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかは、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由とされています。特定の思想、信条を有する者をその故をもって雇い入れなくても、当然に違法とはできませんとあります。

採用時だけではありません。例えばロート製薬。2020年に向けて「卒煙推進」に取り組んでいます。具体的には社員の喫煙者全員の卒煙を目指しており、2017年の喫煙率が11.6%だったのを今年は0%にしようとしています。

筆者はこれまで煙草を一本も吸ったことがありません。それに弟が喘息持ちだったので出来るだけ喫煙所付近には近づかないようにしていました。助産師だった母から身体に悪いと聞かされていたのも大きかったでしょう。しかしそんな筆者からみても喫煙者に対するこれらの取り組みは厳し過ぎるように思えてなりません。就業時間内は会社の規則に従うべきですが、それ以外の時間まで拘束されなければならないのでしょうか。煙草=害悪のイメージが年々強くなってきていますが、やみくもに排外するのではなく、愛煙家にも歩み寄った現実的な政策がとられることを期待します。

 

参考記事:

3月9日日本経済新聞夕刊にゅーすプラス「採用の条件「禁煙」が登場 健康重視の企業、卒煙促す」

参考資料:

厚生労働省 「採用の自由」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性

ロート製薬 2020年に向けた取り組み