閉幕後も輝く 万博人材

 9月の平日、万博会場最寄りの夢洲駅を出ると開場30分前の8時半には長蛇の列。ほとんどの人が日傘を差し、列の途中には日傘の貸し出しもありました。入場前から暑さと行列を覚悟し、30分余りでゲートをくぐりました。

開場前、日傘を差して並ぶ人たち(2025年9月16日 東ゲート付近、筆者撮影)

私が今回、足を運んだパビリオンはオーストラリア、トルコ、スペイン、トルクメニスタン、カタール、アメリカ、アラブ首長国連邦です。この他にも当日予約で入場しようと何度も試みた国もありましたが、かなりの倍率で入場は叶わず。しかし、どの国も独自の文化を没入型で体験したり、食べ物が販売されていたり、足を運んだからこその楽しみがありました。

アメリカ館の月の石(2025年9月16日 筆者撮影)

 

 そして、私が様々なパビリオンや会場全体を歩いて感じたのは万博スタッフの多様性です。昼食で利用したパキスタン料理のレストランでは民族衣装を着た南アジア系の方がレジや調理を担当していました。パビリオンでも日本語を流暢に話す外国人スタッフ、英語のみで会話するスタッフなど多様でした。もちろん、日本人のスタッフもいましたが、万博の一角だけ切り取るとまるで海外にいるかのような感覚に陥りました。
 アメリカ館のオールイングリッシュで行われるEnglishツアーに参加すると、アメリカ出身のスタッフがゲストと積極的に対話しながらガイドしていたのが印象的でした。また、日本人が多いと分かると流暢な日本語でも声掛けをしていました。
 万博の外国人人材の中には、閉幕後も日本で働き続けたい、あるいは学びたい人もいるようです。開催前から日本に興味を持ち、独学で日本語を勉強した人、母国で日本語を専攻している人、様々な背景を持った方々が会場では活躍しています。
 私も英語圏の文化に興味を持ち、英語を専攻しました。母国の文化を発信したいという志を持って、以前、交換留学先のアイルランドで日本の文化イベントの運営ボランティアに参加しました。万博で活躍されている方々には及びませんが、文化などをきっかけに他国に関心を持ち、人材として活動する形に共通点を感じました。
 また、外国人だけでなく、英語が堪能な日本人スタッフも活躍しています。いま、閉幕後をにらんで多くの企業が貴重な経験を万博で積んだ国内外出身者を求めています。日本経済新聞の記事によると14日に大阪でパソナが開催した「万博キャリアNEXT」では、万博スタッフを求めて合同会社ユー・エス・ジェイ、星野リゾートなど接客業を中心に幅広い分野の107社が集まったそうです。高い語学力や万博で培った接客能力を閉幕後も生かし続けられる場所を見つけられる良い機会だと思いました。

大屋根リングを背に、輝くミャクミャク(2025年9月16日 筆者撮影)

 万博での体験はゲストに多様な文化や国を知るきっかけを与えるだけでなく、国内外の多くの人に夢をもたらし、次へのステップで輝く糧となっていくのではないでしょうか。

 

参考記事:

2025年9月14日付 読売新聞オンライン 万博で働いた経験、ぜひうちで生かして…接客スキルや語学力備えた即戦力に100社超が熱視線

https://www.yomiuri.co.jp/member/scrap/20250914-OYT1T50099

2025年9月16日付 日経電子版 大阪万博スタッフに求人の視線熱く 企業説明会に住友電工やヤマトも:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF119TW0R10C25A9000000/

 

参考資料:

株式会社パソナ 【来場者向け】万博キャリアNEXT|パソナの転職フェア

https://www.pasona-career-next.com