膨らんだモバイルバッテリー 火災を防ぐには?

部屋の片づけをしていたとき、久しぶりに取り出したモバイルバッテリーが不自然に膨らんでいるのを見つけました。最初はデザインかもしれないと考えたのですが、相次ぐ事故のニュースを思い出し、念のため家族にも確認したところ膨張しかけている状態ではないかとの結論に至りました。金属製の缶に入れて隔離し、すぐに廃棄方法を調べました。購入したのは大学の生協で、使用回数も決して多くなかったため、正直なところ信じたくない気持ちはありましたが…。

(側面から見たモバイルバッテリー、7月20日筆者撮影)

モバイルバッテリーによる事故は全国で増加しています。28日には、新潟発東京行きの新幹線内で乗客の男性のモバイルバッテリーから出火しました。男性は座席の足元に置かれていたスーツケースから煙が出ているのに気づき、中を確認したところ、バッテリーから火花が出ていたといいます。また、同じ日に大阪関西万博の会場内でも来場者のモバイルバッテリーが焼損する火災がありました。来場者がかばんから異臭がすることに気づき、中を見るとモバイルバッテリーから煙が出ていたそうです。

NHKによると、過去5年間で1860件の事故が報告され、その約85%が火災につながっています。特に夏場に集中しており、8月が228件で最多でした。車内放置や充電中の携帯型扇風機の発火事故など、事例は多岐にわたります。モバイルバッテリーだけでなく、電動アシスト自転車や充電式掃除機なども原因となっています。

膨張したバッテリーは、内部でガスが発生している状態です。外装は膨らみ、少しの衝撃でも発火に至るおそれがあります。筆者が住んでいる自治体では、約2年前から処理施設での小型充電式電池を原因とする火災が多発したため、専用の定期収集を始めました。市の処理施設における火災発生件数をみると、2018年度は約360件でしたが、2022年度には約1300件にまで増加していました。

家庭や外の火災は話題になりやすい一方、ごみ収集車や処理施設での火災はあまり知られていません。読売新聞によると、通常のごみとして捨てられることで火災に繋がるといいます。焼却前の不燃ごみを一時的にためておく「ごみピット」から出火したことや、コンベヤーが損傷して再稼働までに約10か月を要し、被害額は約4億9500万円に上った事例もありました。施設によっては、混入がないか目視や手作業で確認していますが、ワイヤレスイヤホンなどの小さなごみは見つけきれないといいます。そのため、廃棄時の分別が一層重要になります。

筆者が住んでいる市における回収の対象は、スマートフォンやタブレット、デジタルカメラ、加熱式タバコ、ワイヤレスイヤホン、携帯扇風機、電動歯ブラシなど日常的に利用する小型機器の多くが含まれていました。もちろんモバイルバッテリーや充電池も対象です。実際、指定された日に出したところ、問題なく回収してもらうことができました。

膨張の原因には過充電や高温環境での放置、経年劣化などがあります。使用回数が少なくても内部の化学反応が進むことでガスが発生していることがあります。つまり、あまり使っていないから大丈夫とはいえないのです。

では、異常に気づいたときはどうすればよいのでしょうか。

膨張したバッテリーは非常に危険で、充電や使用を行うと発火のリスクがあります。そのため、すぐに使用をやめ、缶などの金属製の容器に入れて隔離してください。処分する際は、必ず自治体のルールに従う必要があります。多くの自治体では、充電式電池専用の回収ルートが設けられており、通常の不燃ごみとして出すことはできません。誤った方法で廃棄すると、処理施設や収集車で火災が発生する恐れがあるため、細心の注意を払うことが重要です。

モバイルバッテリーはスマートフォンと並んで、今や誰もが持ち歩く生活必需品となりました。しかし、その便利さの裏には火災などのリスクが潜んでいます。新幹線や万博での事故は持ち運び中に発生しましたが、筆者のように長期間保管していた製品でも膨張は起こり得ます。小さな違和感や充電性能の低下などのサインを見逃さず、安価で安全性が確認されていない製品の購入を避けることも、事故防止には有効でしょう。

幸い、筆者の場合は早めに処分することで事なきを得ましたが、そのまま放置していたら大きな事故につながったかもしれません。読者の皆さんも、ぜひ一度身の回りのバッテリーを確認し、安全に使用できる環境を整えてみてください。

 

参考記事:

28日付 読売新聞朝刊 13版 社会「上越新幹線内でバッテリー出火 乗客 指にやけど」

読売新聞オンライン6月27日付「リチウムイオン電池が起こすごみ処理施設火災、4億9500万円の被害も…混ぜて捨てられ『見つけきれない』」

朝日新聞デジタル28日付「リチウムイオン電池、高温や衝撃に注意 スマホやモバイルバッテリー…出火事故」

日本経済新聞電子版27日付「リコー系、ごみに混入するリチウムイオン電池を検知 町田市と実証 」

参考資料:

NHK 6月27日リチウムイオン電池の発火事故 夏場に多発 対処法は? スマホやモバイルバッテリー ファン付き作業服でも」