公示地価から見る北海道の変化

国土交通省は先月18日、2025年の公示地価(1月1日時点)を公表しました。

筆者が住む北海道内の地価の上昇率は、住宅地で1.4%(前年4.4%)、商業地で3.1%(同5.1%)、工業地で6.0%(同5.3%)となりました。住宅地は23年の7.6%から伸び悩んでおり、道内の住宅需要は一巡しつつあるものと思われます。

ただ、全国の住宅地と商業地における地価上昇率トップはいずれも道内の地点で、一部のエリアでは開発熱は依然として冷めやらぬようです。

ここ数年、全国の地価上昇率ランキング上位には道内の多くの地点が名を連ねています。ただ、その顔ぶれば年々変化しており、地価の推移から道内経済の動きを垣間見ることができます。

 

◯リゾート開発はニセコから富良野へ

北海道では例年、良質なパウダースノーを求めて多くの観光客がスキーリゾートを訪れています。

中でも、近年バブルとも呼ばれる活況を呈しているのがニセコエリアです。

JR倶知安駅近くの商業地「倶知安町南1条西1丁目40番1外」は19年と20年に50%以上地価が上がり、上昇率が全国1位となりました。

ただ、近年注目はニセコよりも土地が割安な富良野エリアへと移りつつあります。

住宅地の地価上昇率トップは2年連続で富良野市内の土地でした。

外国人を中心に別荘やコンドミニアムなどの需要が高まっています。

ニセコエリアの中心街・ひらふ地区の様子(2024年3月筆者撮影)

 

◯ボールパーク効果は一巡、次は半導体

札幌近郊エリアの地価変動率もここ数年で変動しています。

23年の全国の地価上昇率ランキングトップ10は札幌近郊の地点が独占しました。1位は「北海道ボールパークFビレッジ」を擁する北広島市で、22年度比で約30%上昇しました。

ただ、今年は上昇率上位に北広島市の名前はなく、ボールパーク効果はひと段落した印象です。

対照的に依然として高い伸び率を示しているのが、半導体工場「ラピダス」の建造が進む千歳市です。

今年の商業地の地価上昇率上位3位は千歳市の地点が独占しました。伸び率も36.8〜48.8%と高水準となっています。

 

半導体製造やリゾート開発、新球場建設など変化を続ける北の大地。地価は北海道の変化を数字という目に見える形で我々に示しています。

今年度も変わりゆく地域の姿を読者の皆様にお伝えしたいと思います。

 

参考記事:

3月19日付 読売新聞朝刊(公示地価特集)1面「2025年公示地価 地方4年連続プラス」

日経電子版「北海道富良野市「北の峰」地区、小規模物件投資に勢い」(2024年9月12日)

 

参考資料:

国土交通省「地価・不動産鑑定:地価公示」