かつて多くの都道府県が掲げた、耐震化率の目標。いまだにどの都道府県も達成できていません。今日は、住宅耐震についてのアンケート結果を取り上げます。
2006~2007年度に掲げられた住宅の耐震化率の目標について、41都道府県が、期限の15年度までの達成は困難だったと答えました。「困難」としなかった6県は、「(困難かどうか)評価をしていない」などと回答しています。
耐震化率とは、全住宅のうち「耐震性あり」と考えられるものの割合です。耐震改修された住宅や、基準の厳しくなった1981年以降に建てられた住宅は、「耐震性あり」とみなされることが多いようです。目標を各々が設定したものの、2015年に達成できた都道府県はありませんでした。
ネックになっているのは、関心と費用です。記事には「耐震化が不要と考えている人もいる」という声が紹介されていました。関心の持てない原因は様々です。「高齢・単身世帯が増え、リスクを負っても構わないととらえている」、「地震が起きるという実感が広がらない」。さらに、工事の前の耐震診断だけで、およそ5~20万円程度を負担しなくてはなりません。改修費の補助は、国と自治体を合わせて23%が上限です。補助を受けても、大きな負担は残ります。
耐震化を少しでも進めるために、どのような方法が考えられるでしょうか。記事には、行政が補助することに加えて、戸別訪問などで住民に直接働きかけるといった意見も紹介されていました。それでも、最終的な判断は住人自身が下すことになります。負担を強制することはできません。都道府県の目標が、個人の判断に依っているというズレの中で、90%までの道のりは遠く思えます。
参考記事:
1月16日付 朝日新聞朝刊1面『住宅耐震 届かぬ目標』、その他関連面