ネットニュースで「トランプ候補逆転」のような見出しを見つけました。何事かと思って読んでみれば、一部の調査で支持率が逆転した、という主旨。全ての調査ではありませんでした。とはいえ、見出しだけ読んで閉じていれば、何もかも逆転したように思い込んでいたかもしれません。今朝の記事から、世論の難しさを考えました。
来週の8日に迫っている米大統領選。トランプ氏が猛追しています。FBIの長官が、10月28日にヒラリー氏のメール問題の再捜査を表明しました。すると、それまで世論調査では10ポイント以上離れていた支持率が一気に縮まり、調査によってはトランプ氏が逆転したものまで現れました。今朝の記事は、これを受けたオバマ大統領の応援演説を報じています。投票直前に再捜査を発表した米連邦捜査局(FBI)を非難し、「私たちには、結果についてほのめかしたり、不完全な情報に基づいて捜査をしたりしない規範がある」と述べました。
世論の移り変わりの激しさが見えます。整理してみれば、世論調査前と変わったのは、FBIが再捜査を発表したことのみ。未調査のメールが見つかっただけで、何が書かれているのかまでは明らかになっていません。それでも、10ポイント近い差が生まれています。どの数字を見るべきなのか、一層わかりにくくなりました。
選挙では皆がわかりやすい判断材料に頼ることなく、しっかり考えて投票するのが理想です。一週間を切った今となっては時間も余裕もありませんが、せめていくつかの調査を見比べることが大切だと思います。日本の主要紙でも、内閣支持率について調査をすれば、同じになることはほとんどありません。8%や10%の差は普通で、過半数かどうかも変わります。見出しの数行だけで流されるような選挙では、禍根が残るのではないでしょうか。
参考記事:11月4日(金)付 日本経済新聞朝刊5面 『オバマ氏、FBIを非難』