「6次」産業 農業を稼げる仕事に

 日本の農家をめぐる環境は、簡単ではありません。全体の数字を見ると明らかで、農業就業者の平均年齢は66.3歳。農業人口・農業収入は、どちらもここ20年で半減しています。政府は減反政策などへのてこ入れを始めていますが、そもそもこれは農家の自由競争を促すためのもの。「人手不足の中で、強い淘汰圧に耐える」という、難しい状況が続いています。

 そんな中、今朝の朝刊に興味深いインタビューを見つけました。今回は、朝日新聞の『稼げる農業 目覚めた若手』に注目します。

 石川龍樹さん(37歳)は、20代~40代の農家の団体「夢農人とよた」の会長です。愛知県の三河地方を舞台に、稼げる農業の在り方を探っています。

 主軸となるのは、農業の「6次産業化」です。ここでの「6次」とは、6番目の産業という意味ではありません。主に「1次産業+2次産業+3次産業=6次産業」という意味で使われている造語のことです。つまりは、「1次産業である農家が輸送や販売まで手掛けることで、利益を増やす」ことを指します。さて、「夢農人とよた」のホームページをのぞいてみました。わかりやすいのは、独自の通販サイトを持ち、それぞれの農家のブランドで商品を販売していることです。インタビューによれば、カフェや物産店まで運営しているとのこと。一次産業の枠を大きく超えて利益を生み出す工夫をしています。

 石川さんの話によれば、6次産業化は特効薬ではありえません。「ノウハウがなければ行き詰まるし、時間を取られてしまって作物の品質を下げてしまっては本末転倒」。「6次産業化に必要なのは提案力」。環境が変わるのを待つのではなく、自ら情報を集め提案する。「夢農人」の取り組みは、そんな新しい農家像を予感させます。

参考記事:
6月12日付 朝日新聞朝刊13版 6面『稼げる農業 目覚めた若手』

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