民法改正の議論が教えてくれること

突然ですが、みなさんは女性に再婚の禁止期間が設けられていることをご存知ですか?現在の民法では、女性は離婚してから180日間は結婚してはいけないことになっています。一方、男性にはそのような制約はありません。この違いは、1898年(明治31年)に規定されたもので、離婚した女性が産む子どもの父親を明確にするため設けられた規定でした。しかしながら、昨年12月に最高裁大法廷でこの規定に違憲判決が出たことを契機に、法務省は18日に改正案を発表しました。

今回の改正案の特徴は、妊娠している女性の再婚禁止期間が180日間から100日間に短縮されたこと、また女性が妊娠していないことが証明されれば、離婚直後に再婚できるとしたことの2点でしょう。今回の改正の背景には、医学の発展にともない、明治時代ではできなかったような妊娠の有無の判断ができるようになったこと、そして男女の性差に関しての社会的理解が広まったことが挙げられます。特に後者は、ここ最近で非常に盛り上がりを見せているように見えます。世間の意識の高まりは、少なからず今回の事例に影響していると見ることができるでしょう。

法が社会で起こった問題の仲裁役として存在するならば、法はその社会に合ったものでなければなりません。今回の民法改正案は、社会状況の変遷に柔軟に対応できているものとして、高い評価を得ることができるのではないでしょうか。では、誰が法と社会を見比べて、現状に疑問を投げかけていけばいいのでしょうか。法律家、政治家、はたまた役所に勤めている官僚でしょうか。社会を作る私たちひとりひとりだと私は思います。今回の民法改正の発端は、1人の30代女性の訴訟でした。私たちが生きて行くうえで、生きにくいこと、おかしいと思うことはたくさんあります。その一つ一つの小さな疑問符が、実は今日の社会を一歩前に進めるカギとなっているかもしれません。今日は、そんなことを改めて考えさせられた1日でした。

参考記事:19日付讀賣新聞朝刊1面「再婚 非妊娠なら即可能」

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