少年の非行と貧困

 最近、未成年による事件が多くなっているような気がします。親による虐待や複雑な家庭環境で育ったことによる影響や、誰にも理解してもらえず孤独感に苛まれる等、理由は様々ですが、「貧困」も関係しているのではないかと思います。

 記事に引用されていた昨年の法務省の少年矯正統計によると、少年院と少年鑑別所の新たな収容者の家庭は、裁判所の調べによれば、それぞれ26%、22%が貧困家庭に分類されているとのことです。貧困のストレスによって非行に走るケースがそれだけ多いことが分かります。更に記事で紹介されていたのは、小学生の時から万引きをしていた19歳の青年でした。私の2歳年下であるということにショックを受けながらも、共感できる部分もありました。

 というのも、私も母子家庭という複雑な家庭環境で育ったからです。5歳の時に両親が離婚し、それからは母親の下で暮らすようになりました。母親は低収入の仕事に就いて懸命に働きながら、月々の収入の半分をフィリピンの実家に送っていました。ところが、いよいよ日本での生活基盤が崩れかねない事態に陥り、私はついに「お母さんこれ以上は無理だよ」と考え直すように頼みました。話し合いは何日も続きましたが、母親は遂に泣きながら何度も「ごめんなさい。私が悪かった」と私と妹に向かって謝りました。そして、これからはフィリピンへの送金額を減らしたり、電気代を節約したりすることで、なるべく無駄遣いしない生活を送ることにしました。

 もし私があの状況下で逃げていたら、間違いなく非行に走っていたと思います。でも逃げたら状況は何も変わらないと確信し、耐える道を選びました。母親としっかり話し合って貧困に陥らないように頑張ろうと決め、今ではアルバイトで得た収入の半分を母親に渡して生計を手助けしています。 

 世の中には私以上に貧しい家庭環境で育った若者がたくさんいます。この不景気ですから、格差によるストレスで非行に走りやすくなるのも納得できます。だからこそ、非行や引きこもりの居場所作りに取り組むNPOの支援が必要となり、児童扶養手当の増額やカウンセリング制度を徹底するといった国の積極的な取り組みも重要になってきます。

 私も自分の出来る範囲でそういう状況に陥った若者の話を聞きアドバイスするなど、自らの辛い経験を活かすことで、苦境にある若者を一人でも多く救いたいと強く願っています。

1012日付 朝日新聞朝刊 社会面14版 35面「友達ほしさ 重ねた万引き」

未分類