これからは電柱のない東京?

 毎年恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が1日に発表されました。あっという間に年末の足音が聞こえるようになってしまいましたね。さて、今年の年間大賞に選ばれたのは「神ってる」。セ・リーグで25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島カープの緒方監督が発した言葉で、選手の活躍を象徴しています。

 今年は都政に関連するワードがいくつかノミネートされました。小池百合子さんが東京都知事選で主張した「都民ファースト」。東京五輪に関する「アスリートファースト」、「レガシー」。そして、トップテンに入りした「盛り土」。一時の社会現象にすぎない流行語。ですが、その言葉たちには東京が取り組むべき姿が映し出されています。

 1日開会した都議会での所信表明演説で「無電柱を日本の新たな常識へ」と知事は言いました。公約とする無電柱化の推進に向けて条例の制定を目指す意向表明です。次の東京のあり方を示したように思えます。

 都は無電柱化による景観の向上に期待をしています。ヨーロッパの大都市では道路の無電柱化率は100パーセントを達成しています。日本も世界の目を気にしているのかもしれません。少なくともマラソンコースの区間ではきちんと整備し、4年後に控える東京五輪までには魅せる東京を実現したいのでしょう。

 防災という点でも期待ができます。地震などの災害で道路が電柱が倒れると危険です。また、避難や物資運搬の妨げにもつながります。しかし、電柱を使う場合と比べて無電柱には10倍の費用がかかると言われています。建設コストをどのように縮減していくか。今後の大きな課題になりそうです。

 注意して歩くと、道路工事の看板が増えたような気もします。私の暮らす町でも、オリンピックを見据えて電柱の機能を地中に埋め込む電線共同溝づくりが進められています。景観も防災も重要ではあります。ですが、私にとって少し気がかりなのは工事に伴う街路樹の伐採です。やはりいつも見慣れていた木々がなくなってしまうと思うと、寂しさを憶えます。じわりじわりと自分たちの町の景色が変わっていくのでしょうか。

 道を歩くとき、電柱の有無にも注目し、どんな工事を行われているのか立ち止まって一読するのもいいのかもしれません。自分たちの町なのですから。

街路樹 3
「電線共同溝工事」に伴う伐採予定の街路樹と電柱
(2日正午、白山通り(東京都千代田区)にて筆者撮影)

参考記事:
2日付 朝日新聞 (東京14版)39面(社会)「都道を無電柱化、条例制定の方針」

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