今回はフランスの地方都市における食に焦点を当てます。日本とは異なる食文化はもちろんのことですが、価格は日本に比べて低いことが少なくありませんでした。
マルセイユでは、マクドナルドやユニクロといった世界的なチェーン店であっても看板の主張が控えめで、日本の京都のように街の景観に溶け込んでいます。古い建物を安易に壊さずに改修して利用することで、コストを抑えながら歴史ある街並みを保護してきたおかげです。
その結果、ファストフード店であっても、落ち着いたカフェのような洗練さが漂っていました。近年、日本のマクドナルドではカフェ形態の展開に力を入れていますが、マルセイユの店舗は、まさに目指す方向を象徴しているように感じられました。
マルセイユのマクドナルド
ロゴの主張が控えめだ
(2025年3月、筆者撮影)
フランスにおける日本食はどうでしょうか。1個が3.50€(当時のレートで560円)のおにぎりを買ってみました。食べてみると、ツナのおにぎりはご飯が少しパサついていたのに対し、サーモン&クリームチーズはもっちりとしていました。不思議に思って裏面のラベルを見ると、このふたつは消費期限が違っており、時間が経つと食感が変わるようです。
フランスの「おにぎり」
日本語が書かれているのも印象的だ
(2025年3月、筆者撮影)
驚いたのは、フランスのおにぎりでは長持ちさせるために酢飯が使われていることです。日本の一般的なおにぎりの消費期限が1日程度なのに対し、フランスでは3日間は持つように工夫されていました。日本に比べれば割高ではあるものの、美味しかったです。
続いてパンです。種類が豊富であるだけでなく、その価格帯に驚きました。日本のパン屋では1個が400円以上することも珍しくありませんが、マルセイユでは100円ちょっとで買えるパンがたくさんあります。なぜここまで値段が違うのでしょうか。
マルセイユのパン屋
0.7€(110円)の手のひらサイズのパン(写真左)
それは、小麦の生産量が豊富であるからです。ヨーロッパ最大の農業大国であるフランスの小麦自給率は100%を超え、輸出しています。EU域内なら、輸送費は低く、関税はかかりません。また、フランスの農業は、EUの共通農業政策(CAP)という枠組みによって手厚い補助金を受けています。所得が補償されているため、生産者は小麦を安く市場に流通させることができます。結果として、パン屋の仕入れ値が抑えられ、店頭価格も安くなるのです。
海辺のマルシェ
牡蠣13個5.6€が目を引く
フランス西部ロワール=アトランティック県
(2024年9月、筆者撮影)
フランス西部ロワール=アトランティック県の海沿いのマルシェでは、新鮮で大ぶりな牡蠣が13個(12個+おまけ1個)で5.6ユーロ(現在のレートで約1,000円)でした。日本では考えられない安さです。現地での外食は非常に高くつきますが、マルシェで新鮮な食材を買い求めれば、手頃な価格でお腹いっぱいになるまで堪能できます。
フランスの牡蠣は大ぶり
付加価値税(日本の消費税に相当)が20%と高いため、フランスの物価は日本と比べて割高に感じます。しかし、すべての商品が一律に高いわけではありません。生活必需品である食料品には5.5%の軽減税率が適用されています。スーパーで食材を買って自炊すれば日本より安上がりです。一方、レストランで外食すると高い税金やサービス料が上乗せされます。このように、自炊と外食で極端に値段が変わるのが特徴です。
昨今、円安の影響で海外旅行のハードルは上がっていますが、一工夫することで現地の食文化を楽しむことができます。
参考記事
2023年7月16日、日経MJ「マック、本気で挑むカフェ 「卒マック」の40代にも照準」
参考資料




