4月25日、江戸東京博物館を訪れました。江戸から東京の歴史と文化を振り返り未来の年と生活を考える場として、徳川家康の江戸入府から現代にいたる約400年間を中心に、貴重な実物資料や復元模型、体験型資料が展示されています。3月31日のリニューアルオープン直後とあって、館内はさまざまな国籍の来館者で活気に満ちていました。
足を踏み入れると、その広さと展示物の量に圧倒されました。訪れる前は漠然と「江戸時代の展示が中心だろう」と思い込んでいましたが、実際は江戸時代を扱う「江戸ゾーン」と、明治以降から現代までをたどる「東京ゾーン」で構成され、順路に沿って進むことで自然と時代の流れを体感できる工夫が随所に見られました。こういった展示の設計そのものに、作り手の丁寧な意図を感じました。

(4月25日筆者撮影 「しんよし原大なまづゆらひ」地震を起こした鯰を懲らしめる人々と、それを止めようとする人々が描かれており、地震で困る人もいれば復興事業で仕事が増えて得をする人もいたという皮肉が込められている)
展示を通じて最も心を動かされたのは、幾度となく壊滅的な打撃を受けながらも、そのたびに立ち上がってきた江戸・東京の人々の姿です。
江戸時代は長く平和が続く一方、「明暦の大火」をはじめとする大火が繰り返し街を焼き尽くしましたが、江戸の人々は再び街を築き、世界有数の都市文化を花開かせました。時代が下って近代東京となってからも、文明開化による急速な西洋化、関東大震災による壊滅、そして第二次世界大戦の戦火など、外からの衝撃や破壊に晒されるたびに、異文化を取り込みながら形を変えては何度も息を吹き返してきました。
大きな災厄を乗り越えてきた先人たちの強さと柔軟さが、今の東京という街を形づくっているのだと、館内を歩きながら実感することができました。

(4月25日筆者撮影 新宿-夜のヤミ市- ヤミ市は終戦直後、空襲で焼け野原となっていた駅前に誕生し、鍋や包丁、・茶碗、・下駄などの生活用品を販売していた。戦後の行政の混乱の中で、ただひとつ活況を呈していた場所であり、都民にとっては生活必需品を入手するための数少ないルートの一つであった)
こうした思いを抱きつつ、現在の東京の姿も重ねて考えました。インバウンド需要の高まりとともに、街を歩けば外国人観光客の姿が以前にも増して目に留まるようになってきたと感じます。かつて筆者がイギリスへ留学した際、ロンドンの大英博物館をはじめとする充実した文化施設に触れ、それ自体が都市の豊かさを表している存在であることを痛感しました。
江戸東京博物館のような大きな文化施設は、日本に訪れる外国人にこの国の歴史と文化を伝える格好の手段だと確信します。日本各地にも多様な歴史資料や伝統文化を扱う施設が点在していますが、それらの更新を怠らず、海外からの来訪者に開かれた場として整えていくことは、インバウンド需要への対応にとどまることなく、国際化の大波が押し寄せている中で、日本文化を次の世代へ受け継いでいく土壌を育てることにもつながるのではないでしょうか。




