2026年3月 筆者撮影
先日、SNSで外国人のコンビニ店員と日本人の客のトラブルを取り上げた動画が拡散されていました。そこでは、店員が客に対し、敬語を使うようにと強い口調で迫る様子が映っていました。動画がAIによって作られた可能性も否定できないため、現時点では、実際に起きた出来事なのかは不明です。しかし、SNSでは、外国人店員のマナーを非難する声にとどまらず、移民政策にまで幅を広げた議論が巻き起こっていました。
少子高齢化が進む日本。日本人の労働人口は減少の途をたどっています。農業や漁業、工場、介護等の現場では、たくさんの外国人労働者の力を借りることで成り立っています。労働力が不足する中で経済を維持するためには、今以上に移民を受け入れる必要があると言われています。
実際に、日本ではコロナ禍以降、外国人労働者の割合が急激にふえています。近年では、国内で暮らす外国人の数が、1年で1割以上も増加しているという研究もあります。深刻な人手不足に悩まされる産業界の要望に応える形で、様々な制度で外国人を受け入れてきました。
しかし、外国人が増加するにつれて、様々な問題が表面化してきました。例えば、マナーに関する問題です。同じマンションに住む外国人が、ゴミ出しのルールを守らない。隣の部屋の住人による騒音に悩まされている。日本人の常識からは受け入れがたい行動をするという声が、多くの人から聞かれます。他にも、治安の悪化、日本が外国化してしまう、日本人のアイデンティティーが失われてしまうことを危惧する人々もいます。
「日本を守る」ために、外国人を受け入れないように政府に求める主張が、強い支持を得てきています。ヘイトスピーチに当たるような、過激な言動に出る人も少なくありません。昨年の参議院選挙や今年2月の衆議院選挙では、各党も外国人政策を大きく打ち出しました。いまや避けては通れない問題になってきているのです。
果たして、日本は外国人の受け入れに厳しい制限を設けるべきでしょうか。それとも、より積極的に受け入れていくべきでしょうか。少子高齢化による労働力不足の現状を踏まえると、わたしたちは生活を維持するために外国人を労働者として受け入れざるを得ないと、筆者は考えます。しかし、共生は非常に困難な課題です。どうすれば外国人と日本人は上手く共生していくことができるでしょうか。筆者は、一例としてシンガポールが参考になるのではと考えています。
東南アジアマレー半島の最南端に位置する非常に小さな国が、シンガポールです。国土は淡路島と同じくらいの大きさで、そこに約590万人の人が暮らしています。世界最大の金融都市の1つで、1人あたりのGDPはアジア最高水準に達している経済大国でもあります。筆者は先月、シンガポールに短期留学で滞在しました。何よりも驚いたことは、非常に多様な人種の人々が、調和的に暮らしていたことです。中華系、マレー系、インド系、ヨーロッパ系… 街は実に多様なルーツを持つ人で溢れかえっていました。彼らはみな異なる文化や宗教、食習慣を持っています。異なる民族の間では常識は全く異なります。暗黙の了解も通じません。にもかかわらず、シンガポールでは、秩序が形成されていると強く感じました。なぜ多種多様な背景を持つ人々が共生できているのでしょうか。
【後編】に続きます。更新は5月上旬予定です。
参考資料:
・朝日新聞デジタル 2,026年1月16日 「なんとなく不安」で終わらせず 在日外国人を理解する五つの要点
・朝日新聞デジタル 2026年1月19日 日本社会でふくらむ外国人への不安 連鎖を断ち切るヒントは地方に
・朝日新聞デジタル 2,026年4月19日 「顔が見えない」外国人労働者 治安に不安? 悪循環を断つヒント
