「3.6兆円の経済効果」とも言われた大阪・関西万博。その一方で「建設費の増加」や「本当に元は取れるのか」といった声も多く上がっていました。果たして、大阪万博は「成功」だったのでしょうか。黒字だったのか、それとも赤字だったのか。さらに、万博開催によって日本経済や地域にはどれほどの浮揚効果があったのでしょうか。
大屋根リング、2025年9月 筆者撮影
そこで、2025年4月から10月にかけて開催された大阪・関西万博について、来場者数や収支、経済効果などのデータを踏まえて経済的に成功といえるのかを考えてみました。
まずは来場者数についてです。最終的に約2902万人を記録しています。一般来場者だけでも約2558万人が訪れ、大阪や周辺地域に限らず多くの人々が万博に関心を持っていたことが分かります。とくに9月10日以降は34日連続で20万人を超えました。開催前には「来場者数は伸びないのではないか」という懸念がありましたが、その不安を一掃しました。開場からわずか10分ほどで人気パビリオンに入場制限がかかるほどで、効率よく回るためにパビリオンを巡る順番を何度も考え直さなければならないほどでした。
次に収支についてです。大阪万博では、建設費の増加が大きな問題となりました。当初約1250億円とされていた会場建設費は、資材価格の高騰や人手不足の影響により、最終的には約2350億円まで膨らんでいます。
一方で、最終的な来場者数が2,500万人を超えたことから運営費収支は320億〜370億円の黒字となりました。8月上旬には入場券販売が、収支均衡ラインとされていた約1,800万枚を突破しています。この背景には、いくつかの要因が指摘されています。
1つ目は、夏休み期間に入り、家族連れや学生層の来場が増加したことです。大阪府が発行した「おおさか 経済の動き 2025(令和7年) 10〜12月版」によると、児童・生徒が休みとなる8、9月は、他の月より子供の来場者の割合が高いことが分かります。
2つ目に、SNSや口コミを通じて「一度は行ってみたい」という機運が高まったことが指摘できます。開幕当初はマスメディアやネット上で否定的な意見が多く見られましたが、来場者数が伸びるにつれて、会場の魅力や現地での思い出を発信する写真・動画がSNS上で多く共有されるようになり、それらを通じて好印象が増幅されたことが、来場者増加の一因であると考えられます。
続いて、経済効果についてです。大阪万博では約3兆円規模に達したと推計されており、その影響は非常に大きかったようです。ホテル業界や交通機関には多大な利益がもたらされました。グッズの販売も好調で、会場外でも経済活動の活性化につながっています。中でも、公式キャラクター「ミャクミャク」は当初の想定を上回る人気者となり、関連商品の売上が爆発的に伸びたことが注目されています。
さらに、会場内における飲食や物販などの販売総額は約1,260億円に達したと発表されており、会場内でも大規模な消費活動が行われていたことが分かります。
先の「おおさか 経済の動き」によると、居住地別の平均消費額は、大阪府内の来場者で17,659円、近畿(大阪府外)は23,522円、その他地域(近畿外)は46,596円であり、移動距離や宿泊の有無で大きな差が生じています。県外とくに、近畿圏の外からやってきて大阪府内に宿泊した層は、会場内外の全てで高い消費額を示しています。その一方で、大阪府や近畿圏の来場者は日帰りが中心で、消費額は小さいとのことです。来場者の消費規模は宿泊をするかどうかに大きく依存しているわけです。今回の万博では遠来組が非常に多かったために大阪だけでなく周辺も潤ったといえるでしょう。
一方で、多くの課題や批判もあります。特に大きな問題として挙げられていたのが、建設費の高騰です。当初の想定よりも費用が大幅に膨らんだことで、「税金の使い方として適切なのか」という意見も少なくありませんでした。また、開催期間中には混雑や待ち時間の長さなども問題視され、来場者の満足度に影響を与えた可能性は否定できません。経済効果が期待される一方で、その効果に見合う負担だったのかについては、議論が分かれるところでしょう。
今回調べた限りでは、大阪・関西万博は建設費の増加などの課題はあったものの、それ以上の効果が得られたと考えられます。国内外から多くが訪れたことで、観光業や宿泊業、交通機関など幅広い分野に利益をもたらしました。また、日本の技術や文化を世界へ発信できた点も大きな成果です。
筆者の結論は、さまざまな面で十分に「ペイできた」というものです。
大阪・関西万博内のミャクミャク、2025年9月 筆者撮影
参考記事:
・2026年3月25日付 日経電子版 「万博の「温度差」に学ぶ 大阪から横浜」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF232J20T20C26A3000000/
・2025年12月30日付 日経電子版 「大阪万博と共に歩んだ1年 レガシー脈々、技術も食も会場から街へ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJE1679Z0W5A211C2000000/
・2025年12月25日付 日経電子版 「大阪万博の経済効果3.6兆円、開幕前の予測を上回る グッズ好調」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA253X60V21C25A2000000/
・2025年10月7日付 日経電子版 「大阪万博の収支、最大280億円の黒字に 愛知の129億円上回る」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF300UI0Q5A930C2000000/
参考資料:
・EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト データから振り返る大阪・関西万博
https://www.expo2025.or.jp/expo_data/
・令和8年3月発行 大阪府 商工労働部商工労働総務課 大阪産業経済リサーチセンター 「おおさか 経済の動き 2025(令和7年) 10〜12月版」

