1972年5月15日、沖縄がアメリカから日本に返還されました。
太平洋戦争の末期の沖縄では、太平洋戦争で唯一の地上戦とされる壮絶な死闘が繰り広げられました。終戦後、日本本土ではGHQによる指示を受けながら政治が行われました。間接統治と呼ばれるものです。ところが、沖縄だけはアメリカによる直接統治となりました。米軍による沖縄占領に始まり、その後も「琉球列島米国民政府」などの形態を通じて支配が続きます。本土から沖縄に入るためにパスポートが必要になるなど、様々な不都合が生じました。
先日、2022年にNHKが放送したクローズアップ現代「50年前の沖縄にタイムトラベル 本土復帰“歴史への旅”」を授業で視聴しました。この番組は、沖縄が返還されて50年のタイミングで制作されたものですが、戦争を記録やデータで振り返るような堅い番組ではありません。難しく感じてしまうトピックを、触れやすく、そして学びやすく伝えていました。
興味を持つということの重要性
まず、敗戦から間もない沖縄がVR空間で再現されます。制作に協力した高校生たちは自らの家からゲームを操作する感覚で参加し、占領下の沖縄を体験するというバラエティ色の強い内容となっています。若者にこそ見てもらいたい、という思いが制作側にあったことがうかがえます。
50年前の沖縄が体感できるということ自体がとても興味深く、この時代の暮らしを垣間見ることができる構成に、他の番組との違いを感じました。女性の多さや、ゴザ騒動、沖縄本土復帰の日の抗議運動など、歴史の教科書だったらさほど取り上げられないであろう側面が伝えられ、政治的な問題よりも人々の生活に焦点を当てています。
また、この番組の中でゲストの玉城ティナさんが涙ながらに沖縄に興味を持ってくれることがうれしい、と語っていたことも印象的でした。参加した若者たちは、自由に動くことが出来るVRで1970年代の沖縄を体験し、実際にその時代を生き抜いた方々に質問をしています。体験を通じて感じたこと、考えたことを率直に聞いている姿からは、VRの世界を動いてみたからこそ得られた思いがこもっていることが伝わってきました。
筆者自身は、高校の修学旅行で沖縄に行ったことがあります。戦時中の話をたくさん伺うことはできましたが、その後の統治下での話はあまり知る機会がありませんでした。この番組のコンセプトも修学旅行なので、同じような角度から制作されたといえるでしょう。筆者はもう一度沖縄を訪れ、観光と平和学習という修学旅行の枠組みをさらに超えた、統治下の沖縄を生きた方々に生の声をお聞きしたいと思っています。
歴史を体感すること、そこから興味を持ってもらうことが、若者の共感を得るためにはとても重要です。それは社会がいまだに抱えている問題に向き合い、解決に向けて取り組もうとするきっかけになるのではないでしょうか。
では、私たちの周りで歴史を実体験できる機会はあるのでしょうか。次回は身近な取り組みを紹介します。
参考資料
・沖縄県ホームページ 歴史概要
https://www.pref.okinawa.jp/kyoiku/kodomo/1002705/1002706.html
・NHKクローズアップ現代 50年前の沖縄にタイムトラベル 本土復帰“歴史への旅”(2022年5月11日放送)