『明日破産します』山形県から唯一の百貨店が消えた。
日本百貨店協会加盟としては山形県内唯一の百貨店「大沼山形本店」を経営する「大沼」(本社・山形市)が27日、山形地裁に自己破産を申請し、地裁は破産手続きの開始を決定したのだ。原因は複数あるそうだが、消費増税の後の異次元の売上の落ち込みと人々の消費行動の変化が大きな要因だという。
山形出身の私の友人に話を聞くと、「大沼デパートは御用達だったので、ショックです。成人式のスーツも大沼で買いました。母親の友人が働いていたのですが、従業員も(閉店を)前日まで知らされていなかったそうです」
「山形の1番栄えているところにあるデパートがなくなったので、今後が不安」とのこと。
人々の生活に当たり前にようにあった百貨店が突然明日閉店すると言われたら、誰でも不安を覚えるだろう。事前に告知する形で閉店をするなど、閉店セールといった、地域の人に最後の感謝を伝える販売方法を行なうべきである。それを行えずに即日閉店することになるまで、業績悪化を放置していたということは非常に深刻な事態だ。加えて、191人の全従業員は26日付で解雇された。働いていた多くの従業員は突然の失業に見舞われてしまったのだ。近隣住民、そして百貨店関係者を悲しませる形になってしまった今回の閉店。今後はこのようなことが起きないでほしいと切に願っている。
実は私も昔から愛用し数え切れないほど思い出のある百貨店が、なくなってしまった経験がある。私が住む神奈川県相模原市にあった伊勢丹相模原店が、一昨年の9月末で閉店してしまったのだ。「石にしがみついても撤退への考えを変えてもらいたいという気持ちもある。だが時代は変わった」と発言していた相模原市の加山俊夫前市長(当時)も別れを惜しんでいたが、努力の甲斐なく地元住民に惜しまれながら営業を終了した。
更に、経営していた三越伊勢丹ホールディングスから「消費者の購買行動の変化により売り上げが低下して赤字が恒常化し、閉店を決断するに至った」と報告を受けたことを前市長は明かした。
この様に地方の百貨店の閉店は、他人事ではない。全国の地方都市でも同じような現象が続々と起きている。
人口減少が起き、少子高齢化が進んでいる日本。生活圏や商圏は首都圏に一極集中し、地方の過疎化が止まらない。更にキャッシュレス決済やネット通販の爆発的な普及により、人々の消費行動は日々変化している。今までのビジネスモデルでは通用しない時代が来ているのだ。それに伴い地方都市では、今回のように失業する人も出て来てしまっている。地方が、如何にして技術革新や人々の新しい消費行動についていくのか。
この現実と向き合わなければ、真の地方創生にはならないだろう。
地方に合う対策を練り直すべき時が、もうすぐそこへ来ている。
【引用】
・朝日新聞「明日破産する」突然の宣告 山形唯一のデパート即閉店
https://www.asahi.com/articles/ASN1W4VL6N1WUZHB015.html
・神奈川新聞 相模原市長、伊勢丹閉店に「時代変わった」 自身が誘致担当