2拠点生活 好きな場所に住んで仕事をしよう

来年4月から新社会人になる同級生達と最近「引越し」についてよく話します。引越し先は私の周囲ではほとんどが首都圏です。配属先が地方になる可能性があるとしても、本社が東京にあるため、研修は東京で行う場合が多いようです。

就活中も合同説明会で目にする企業は大多数が本社を東京に構えていました。すると就活生の目も自然と東京に向けられます。人、モノ、金が東京へと流れ込む、一極集中を感じました。

国の想定によれば首都直下型地震が今後30年で70パーセントの確率で起こるとされています。先日、NHKで「パラレル東京」という番組が放送されていました。首都直下型地震が起きたという想定のもと、東京で起こりうる事態を描いたドラマとその検証が扱われました。

「俺たちは地震が起こりうると分かっていながらも東京への一極集中をやめなかった。」

ドラマ内で次々と起こる未曽有の事態を前に登場人物が放ったセリフです。進みゆく一極集中化を放置したままにしていると、大災害が起こった場合に日本全体の機能が停止しかねません。

2拠点生活という新しい生活の仕方が広まりを見せつつあります。地方に住み、新幹線で東京へ通勤をする。東京と地方の双方に拠点を持って生活をすることで働き方に多様性を生み出します。

人口減少に悩む地方では転出防止や移住、Uターン促進のために新幹線定期代を補助する沿線自治体も増えています。実際に新幹線定期の輸送量は増加傾向にあります。また、テレワークも徐々に普及してきています。自宅にいながらにして仕事が出来るようになれば、大都市圏に住む意義は薄れます。

企業の拠点を分散させるのは巨額の資金と長い時間がかかります。すぐに進めるのは困難と言わざるを得ません。しかし、人々が住みたいところに移動するのは企業の移動よりも容易なはずです。

好きな場所に住み、仕事をする。現在よりも自由なスタイルの暮らしが「常識」となる日も遠くないかもしれません。

参考記事:

8日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)31面「雪国と東京 いいとこ取り」