グーグルマップ改ざんから見える社会問題

 今月20日、地図検索サービスの「グーグルマップ」の表記が改ざんされるという事件が起きました。警視庁は「恒心教警視庁サティアン」、広島の原爆ドームは「核実験場」に変えられました。改ざんの範囲は世界各国に及びます。この事件がいたずらだとすれば、幼稚としか言いようがありませんが、恐ろしさも感じます。

 私は人間の成長が技術の進歩に追いつけなくなっているのではないかと危惧しています。昨今は社会の変化が目まぐるしく、新たな技術が次から次へと生まれています。しかし、人間はその分だけ成長できているのでしょうか。もし進歩から遅れれば、守る術を持たない人への攻撃や粗悪品の動作不良などによる事故の増加、ネット上におけるモラルの低下は避けられないことでしょう。だからこそ、これからは人間の成長がより重要になると思います。

 情報ネットワークにおける倫理観、技術への最低限の理解、製品・サービスの品質の向上が必要であると考えます。そのために、教育機関が早い段階で子供にコンピュータの正しい使い方、危険への対処法を指導するべきです。また、過剰な価格競争や開発競争による製品・サービスの品質の低下を抑止する新たな仕組みが必要になるでしょう。

 これらにより悪事を働くのが困難になれば犯罪が減少し、便利かつ安心な世の中になるかもしれません。そのためにも私たち一人一人が自分に出来ることを考えて行動していかなくてはなりません。

参考記事:4月21日付朝日新聞朝刊(東京14版)36面(社会面)「グーグルマップ改ざん被害」より