11月に入り、ようやく秋らしい気候になってきました。「食欲の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」…。何をするにも過ごしやすい秋には、「○○の秋」との表現が豊富にあります。今回クローズアップしたいのは「読書の秋」。毎年恒例の読書週間が10月27日から11月9日にかけ開催されています。
筆者が好きなのは紙の本。薄くなる残りのページを見て、もうすぐ読み終わるのかと少し寂しくなったり、分厚い本を読んで、ここまで読み進めたと達成感を味わったり。満員電車に揺られながら、スマホなら片手でも読めるのにと、電子書籍に惹かれることもあります。ですが、重みを感じながら「読んだ」と実感出来る紙がやはり好きです。
昨今、若者の活字離れが深刻です。筆者自身も本を手に取らなかった時期がありました。小学生の頃は図書館に通い詰め、電車に乗っているときなど暇があれば本を開いていたものです。ですが、中学時代は専らスマホ片手に通学。そのうち本が鞄に入っていることがなくなっていきました。
しかし、久しぶりに本屋にふらっと入ったとき、ゆったりとした雰囲気に心が落ち着きました。立ち止まって気になる本をめくっている人、背表紙を見てどれが良いか選んでいる人。外では、多くの人が時間に追われ忙しそうに動いていますが、そこでは時間がゆっくりと流れていました。
SNS・ネットでは、新規投稿が常にあり、絶え間なく更新されます。それを見て、情報が自分から逃げていっているように感じるときがあります。ですが、本は逃げません。どこか情報に流され、疲れていた当時、本屋のその雰囲気に救われました。以降、立ち寄る機会が増え、今ではかならず一冊を鞄に入れて出かけています。
今年の読書週間の標語は「おかえり、栞の場所で待ってるよ」。ネットでは、投稿がいつのまにか消されていたり、新規投稿に埋もれ見失ったりすることもあります。一方、本はまた読んでもらえるのをのんびり待ってくれています。
久しぶりに読みかけのものをまた手に取るのもよし、書店へお気に入りの本探しに出かけるのもよし。少し本から遠のいていた方も、この秋は「読書の秋」にしてみてはいかがでしょうか。
参考記事
5日付 朝日新聞(東京14版)1面 天声人語
同日付 日本経済新聞(東京13版)1面 春秋
参考資料
http://www.dokusyo.or.jp/jigyo/jigyo.htm公益社団法人 読書推進運動協議会「読書週間」