悲願の8強へ 彼らの勇姿を見届けよ

世界ランキング2位のアイルランドと対戦し、歴史的勝利をおさめた1週間後。また日本がやりました!

5日のサモア戦。ラストワンプレーで4トライ目を決め、ボーナスポイントを見事獲得。初のベスト8進出に王手をかけました。今、日本中がラグビーに沸いています。

試合終了後、選手に声援送るファン。 日本経済新聞電子版より。

サモア戦に、38-19で勝った日本。結果だけで、8位の日本が格下のサモア(15位)に快勝したのは当たり前だと思う人もいるかもしれません。しかし、ワールドカップ前までの対戦成績は4勝11敗と大きく負け越しています。フィジカル面の強さを誇る油断できない相手です。

一方、サモアは負ければ予選敗退が決まってしまいます。両者にとって絶対負ける訳にはいかない試合でした。

 

W杯が第3週に入り、審判が判定基準を見直したのではないかと言われています。日本はこれまでの試合で最も多くのペナルティを取られてしまいました。パワーの強いサモアに押され、僅差に詰め寄られる場面も。

しかし、後半巻き返し、31-19で後半40分の経過を知らせるホーンが響きました。ついにラスト1プレイ。プレイが切れたら試合は終了。ボーナスポイントには残り1トライ。もう1トライは無理か。でも、勝てたし良かったではないか。このように考え始めたその時、スクラムでサモアのミスを誘うと、田中の正確なパスでボールは松島へ。相手のタックルを受けながらもトライ。最後まで諦めなかった選手たちの思いが、勝ち点5の勝利に繋がった試合でした。

タックルを受けながらも、トライを決めた松島。日本経済新聞電子版より。

実をいうと筆者がラグビーの試合を見るのはこのW杯が初めてです。夏にあった連続ドラマで興味を抱き、今はすっかり魅了されています。

魅力は、やはり戦う選手の姿です。己の鍛え上げた身体のみを武器に試合に臨みます。身一つで、相手にぶつかりにいかねばならないのです。怖くないのだろうか。痛くはないのだろうか。そう思ってしまうぐらい、彼らは全力でぶつかりにいきます。もちろん、怖くないわけがありません。痛いに決まっています。それでも投げ飛ばされようが、押し負けようが、諦めずにまた相手に立ち向かうのです。

スクラム最前列の選手には、約2トンの負荷がかかることも。日本経済新聞電子版より。

特に日本人選手は体格で見劣りします。2m近く、100キロを優に超えた選手に立ち向かう姿を見て、冷や冷やすることもあります。ですが、当の選手は臆せずぶつかっていきます。身を削ってでもチームの勝利のために戦う。毎試合、彼らの姿からはその強い決意が伝わってきます。もうダメかもしれない。でも、まだ頑張る余地があるなら踏ん張ろう。そんな勇気を選手は私たちにくれます。

アイルランド戦の前、ジェイミー・ジョセフ監督が、5行の俳句で選手らにメッセージを送りました。以下のように、田村選手が述べています。

誰も勝つと思ってないし、誰も接戦になるとも思ってないし、誰も僕らがどんだけ犠牲にしたか分からないし、信じてるのは僕たちだけ。

日本代表は、私たちが想像できないくらいの厳しい練習をこの4年間自らに課してきました。素早い正確なパス回しは、国籍に関係なくチームが1つになって積み重ねた努力の賜物です。そして、最後まで自分たちを信じる思い。この力が、アイルランド戦、そしてサモア戦の勝利を掴む原動力となったように思います。選手全員が今、日本のために戦っています。

試合前、円陣を組む日本代表。読売新聞オンラインより。

いよいよ次戦となるスコットランド戦。引き分け以上で日本の8強が決まります。ぜひ今まで見ていなかった方もご覧ください。ラグビーの格好良さに間違いなく目覚めると思います。彼らの姿に感動すると思います。今度は私たちの番です。選手の力を信じ、全力で応援しましょう。

がんばれ、ニッポン!!

参考記事
7日付 日本経済新聞(東京12版) 31面「厳しい判定 我慢のプレー」

読売新聞(東京13版) 16面「控え選手 要所でキラリ」

朝日新聞(東京13版)  9面「田村が得点首位」

日本経済新聞電子版「サモア戦4トライでボーナス点 激闘を写真で振り返る」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50535060T01C19A0000000/

読売新聞オンライン「ラグビーワールドカップ2019 日本代表 写真特集」

https://www.yomiuri.co.jp/rugbyworldcup/photos/

参考資料
9月28日スポーツ報知「大金星呼んだジョセフHCの“俳句” SO田村優「その通りになった」https://hochi.news/articles/20190928-OHT1T50133.html