19日付日本経済新聞朝刊、教育面では大学教育の「双方向型学習への転換」が提言されています。大学進学率が低かった時代には学歴が個人の価値の判定基準となりました。そのため、企業は採用にあたり大学4年間の時間の使い方にばかり興味を持ち、教員は学生の学習能力を厳格に判定しようとしない状況が生まれました。結果、卒業に苦労しないため「大学入学」が小さいころからの目標になってしまい、入学後は学業を重視しないようになります。
耳が痛い。この記事を読んで素直に思いました。まさに自分のことを言われているかのような内容だったからです。
就職活動において頻繁に問われる重要事項の一つに、いわゆる「ガクチカ」と言われるものがあります。これは「大学生活で力を入れたこと」です。
「体育会は就活で強い。」
これは学生の中で暗黙の了解です。「暗黙」となっていますが、これは事実だと感じます。部活動を軸に「ガクチカ」の内容を充実させることができ、そのエピソードから企業が求めるものをアピールしやすいからです。私も体育会所属であることをフル活用して就職活動を終えました。
しかし、「ガクチカ」がもし「学業面で力を入れたこと」だったら。
前述の暗黙の了解は崩れ去ると思います。体育会に所属する学生が強いのは学業について語ることを強いられないからです。もちろん、部活動をしつつ学業に力を入れている人も大勢います。しかし、単位を取ることに苦労をしている様子も多くうかがえます。
「力を入れたこと」はその人の人となりが濃く表れます。そのため、現在の「ガクチカ」は残すべきだと思います。しかし、エントリーシートや面接で自身の学業について聞かれることがほぼ無い現在の状況は変えなければなりません。
大学は学問をする場所です。この本来の機能を取り戻させるには、学生の努力だけではなく、社会全体で変わっていく必要があります。
参考記事:
19日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)14面(教育)「双方向型学習へ転換を」