各地で聖火ランナーの募集が始まり、五輪ムードがますます高まっています。昨日の読売新聞夕刊にも、五輪に関する記事が掲載されていました。海外からの補助犬を認定する仕組みが新たに導入されるそうです。新国立競技場には介助犬とともに観戦できる「アメニティ座席」も設置されます。障害のありなしに拘わらず、みんなが楽しめる東京2020を目指しているのでしょう。
それに比べて、私たちの障害者に対する理解は進んでいないと思うニュースがありました。視覚障害のある男性が白杖を持って歩いていたところ、人にぶつかり、「目が見えないくせに一人で歩いてんじゃねえよ」と言われたというものです。被害者がTwitterにあげた投稿から話題になりました。
筆者は、障害者は健常者の助けを必要としてはいるが、その手助けさえあれば同じように暮らしを楽しめると確信しています。きっかけは、4月に参加したブラインドマラソンの練習会でした。毎月、東京・代々木公園で行われています。
ランナーとともに走るうちに知ったのは、目の見えない人の多くが事故に巻き込まれていることです。一緒に走った女性は、マラソンの練習中に人にぶつかり、救急車で運ばれたと話していました。転んだときに出血し、入院も経験しました。「こちらがよけてくれると思っているのだろうけど、道を開けてほしい」と悲しそうに話します。
目の見える健常者が気を配っていれば、起きなかったことでしょう。今話題の投稿もこの女性の体験も、きっと、氷山の一角にすぎません。
視覚障害を持つ人の約8割が事故に巻き込まれています。被害が多いのは信号待ちをしている時、交差点を渡っている時です。「一緒に渡りましょうか」。この一声がかけられたら悲しい被害は減ります。
障害を持つ人たちへの支援には行政の力は必須です。同時に、私たちが理解を深めていくことも欠かせません。まずは、障害者の生活を知り、手の差し伸べ方を会得することです。
障害者への気遣いを忘れないことは、東京2020を機に海外から来る多くの方たちへの「おもてなし」にも繋がるのではないでしょうか。
参考記事:8日付 読売新聞夕刊 (3版) (13面)「五輪 海外の補助犬歓迎」