どの会社も視界不良 どこに入る?

来年3月に卒業する大学生の就職活動はピークを迎えています。6月1日の選考解禁日を待つことなく過半数の学生が既に内定を得ています。

皆さんが会社を選ぶ軸はなんでしょう。給与、残業時間、業績、転勤の多さ…人によって十人十色でしょう。業績が好調ならば安泰だろうと見込む人も多いはずです。

日本を代表する大企業であるトヨタ自動車は、課長級以上の管理職およそ9,800人に支給する夏のボーナスを最大5%減らすことが明らかになりました。世界でもトップを争う販売台数を誇り、その名を知らない人などいるのかと思うトヨタ。このニュースを聞いた時、そんなに業績が悪いのかと心配しましたが、20年3月期の最終利益予想は前期比約20%増の2兆2,500億円を見込む好調ぶり。

業績が好調なのになぜボーナスを減らすのか。その要因は競争環境の悪化です。現在、自動車業界では、自動運転や電気自動車の技術競争が激しさを増しており、今までクルマとは縁がなかった企業との協力も重要になっています。今まで自動車産業の王座に君臨してきたトヨタが、この先も繁栄を拡大するためにも、いつ不安定になるか分からないという危機意識を幹部に共有してもらう狙いがあります。

思えば、かつて就職ランキングでトップを飾っていた銀行も、長引く低金利により収益環境は悪化しています。また、日立やソニーの液晶ディスプレイを統合したジャパンディスプレイは従業員の25%を削減して経営再建中だったり、東芝やシャープも海外企業の資本を受け入れています。

就職を選ぶ際にその企業の知名度を参考にすること自体は問題ありません。でも、果たして私たちが退職しあの世に行くまでその企業が安定または成長しているのか、極端に言えば存続しているのか。こればかりは誰も予想できません。でも、せめて自分が好きな仕事をプライドを持って行えるような業界・職務に就きたいものです。

皆さんは就職活動は順調でしょうか。筆者も現在就活生です。一番志望度が高い企業に「お祈り」をされたり、人気企業からまさかの面接通過の連絡をいただいたり。一喜一憂しすぎず、その企業に恋をしてアプローチし続けましょうね。

参考記事:

13日付 読売新聞朝刊14版 1面「トヨタ 管理職ボーナス減」