♪♪♪
重い扉を押し開けたら 暗い道が続いてて めげずに歩いたその先に 知らなかった世界
スピッツの「優しいあの子」の歌詞です。平日の朝、この歌と共に1日が始まります。今回の「なつぞら」で100作目となった朝の連続テレビ小説。2006年上半期放送の「純情きらり」から筆者は朝ドラを見て育ってきました。
▲NHKHP「朝ドラ100」より 第80作で全国47都道府県を一巡した。
思わず「じぇじぇじぇ!」と言いたくなる、ドラマ史上最高の平均視聴率52.6%を記録した「おしん」が放送された頃は、テレビが多くの人々にとって最高の娯楽でした。ですが平成になり、ポケベル、スマホ、インターネットと技術革新が進み、今ではYOUTUBE・GYAO!をはじめ、娯楽も多様化しました。家にテレビは置かないという人も出てきています。このような流れを受け、ドラマを見る人は減っています。
その中で、朝ドラも視聴率が落ちた時期はありましたが、8時15分だった放送開始を8時に繰り上げ、直後の「あさイチ」で「朝ドラ受け」をするなどの工夫が功を奏し、近年は平均視聴率20%以上を維持しています。
ヒロインが、苦難もあるなか、めげずに頑張って、幸せを掴む。
視聴者が抱く朝ドラのイメージの6番目に「無難」がランクインしています。ほぼ毎日テレビの前に座って見続けられるのは、きっと「どんど晴れ」でめでたし、めでたしのラストが待っていると、どこか分かっているからではないでしょうか。かく言う筆者も生活の一部となっています。
「朝ドラが嫌いだ。だってあまりにも主人公が優等生すぎるから。こんな周りがいい人で溢れているなんてあり得ないから」
友人の意見です。初めて聞いたときは衝撃を受けましたが、確かにこのように思う人もある程度はいるでしょう。それでも視聴率に表れているように、ドラマのなかだけでも幸せな報われる世界を見ていたいと思う人が多くいることも事実です。
「頑張っていれば、前を向いていれば、どんなに辛いことがあっても最後は努力が実を結ぶ」
もちろん人生すべてが報われるわけではありません。また、自分の思い描いていた未来をつかめる人などそう簡単にいません。頭では分かっています。それでも頑張り続けるために、朝ドラが伝える希望をいつも見つけようとしてしまいます。
今朝の朝日新聞で落語家林家正蔵さんが朝ドラの良さを語っていました。「今日もちょっと頑張ってみよう」という気持ちにさせてくれるところ、とあります。
「やってまった!」と失敗することも、「どうしたもんじゃろの~」と思うように事が運ばず悩むこともありますが、それでも頑張ってみる元気を筆者も朝ドラからもらっています。
明日で4月が終わります。新社会人をはじめ、新たな場所に身を置く方々、そろそろ生活に慣れたころでしょうか。それとも挫けそうになることばかりでしょうか。上手くいかないことが続いても、毎日ちょっと頑張ってみたらまた違った世界が見えてくるかもしれません。自分にとっての幸せが見つけられることを信じて、筆者も毎日を一生懸命生きていこうと思います。
令和になっても、朝ドラが伝えるメッセージが人々の心に響くものでありますように。
それでは皆さん、
ごきげんよう、さようなら。
注:記事に出てきた朝ドラの言葉
じぇじぇじぇ!…驚いたとき・感動したときに使われる岩手の方言。第88作「あまちゃん」より
どんど晴れ…「めでたし、めでたし」の意味で岩手の方言。第76作「どんど晴れ」より
やってまった…「やってしまった」という岐阜の方言。第98作「半分、青い」より
どうしたもんじゃろの~…静岡・浜松の遠州弁。第94作「とと姉ちゃん」より
ごきげんよう、さようなら…第90作「花子とアン」より
参考文献:
29日付朝日新聞朝刊 東京13版 23面(扉) 「時代映す 朝ドラ100作」
2019年2月号『しんくみ』 「時事コメンタリー第23回 朝ドラの秘密」
https://www.nhk.or.jp/asadora/map/index.html 「朝ドラ100 ご当地マップ」