「10連休」となるゴールデンウィークが迫ってきました。一部旅行会社の調査では、ゴールデンウィーク中の海外旅行者は過去最高となる見込みで、商機と見る企業は多そうです。一方で、新聞社や調査会社などの調査では10連休を「全くうれしくない」「あまりうれしくない」「うれしくない」と回答した人が「とてもうれしい「まあうれしい」「うれしい」を上回る結果が出ています。さすがに長過ぎると感じる人も多いのかもしれません。
連休中、教育関係者からは嘆きの声が聞こえてきそうです。
12日付朝日新聞(東京本社版)によると、兵庫県明石市の教育委員会は11日、半数以上の市立中学校で総授業時間数が、文部科学省の定めた基準より少ない状態が続いていた問題について、会見で謝罪しました。校長らの一部で「教科書が全て終わり、学習指導要領の内容を履修するなどしていれば、標準時間数は努力目標を下回っていても構わない」との認識があったとしています。
文部科学省の定めた基準というのは学習指導要領のことで、教科ごとの標準時間が定められています。国の基準である以上、遵守するのは公共性の高い「学校」の役割として至極当然のことのように思われます。
大阪本社版の記事や、地元紙・神戸新聞を見ると、改善策として、「短縮授業」の取りやめ」や「7時間目の実施」「冬休み中の授業実施」などが挙げられていました。単純に授業時間そのものを増やす策が目立ちます。
義務教育だけの問題では無いかも知れません。筆者の通う大学では、4月はじまりの1年度が、春学期(前期)と秋学期(後期)に分かれ、半期ごとに1授業あたり全15回2単位が割り当てられています。近年大学生や教員の間で話題に上がるのが、祝日の授業実施です。カレンダーで確認したところ、今年度も祝日の授業実施日が6日あることがわかりました。ある大学教員は「祝日くらい誰だって休みたい」と、いわゆる自主休講する方針。一方で「教務から怒られるので」という理由で渋々実施する教員もおり、対応は様々です。でも本音では「休みたい」という声を、授業内でよく聞きます。
量と質の双方で文科省の基準を満たすことが求められているのは事実です。しかし、やや量の基準が厳しすぎるようにも感じます。明石市のある校長は「負担が増えたのに土曜や祝日など休日は増えた。工夫にも限度がある」と嘆きます。祝日法では、「国民の祝日は休日とする(第3条)」と明記されており、休日に授業を実施すれば、生徒や学生、保護者から何かしらの反発があるかもしれません。ゆとり教育からの脱却を目指した反動が、ここにきて出てきているようにも感じるのは、筆者だけでしょうか。
参考記事
12日付 朝日新聞朝刊(東京14版)31面(第3社会)「授業時間不足「教育の責任」」
12日付 朝日新聞朝刊(大阪デジタル版)26面(第2社会)「中学授業数不足「責任重大」謝罪」
12日付 神戸新聞NEXT 「明石市立中学校の授業時間数不足 9教科、最大55時間下回る」
4日付 共同通信(デジタル版)GW旅行者、過去最高に