拝啓 自由民主党殿

統一地方選挙が熱を帯びています。11の道府県知事選挙をはじめ、41の道府県議会議員やその他政令市の市長選挙など地方自治体の選挙が多くあります。

中でも注目を集めているのは大阪府と大阪市です。都構想の実現を掲げて市長と府知事が揃って辞職し入れ替わって出馬するクロスダブル選となり、反維新の名のもとに自民党擁立の新人を公明党、立憲民主党や共産党までもが支援するという、「維新vs反維新」という分かりやすい構図となっています。

大阪のような巨大都市の選挙で自民党と共産党が同じ候補を応援するというのは極めて珍しい状況でしょう。こうした状況を受けて、維新側から「自民党と共産党のタッグは野合だ」と批判を強めています。

こうした批判を意識してか、自民党のスタンスとしては「共産党が勝手に乗ってきているだけ」という苦しい説明に追われています。

統一地方選が終われば注目は国政に移り、今度は参議院議員選挙があります。自民党は前回の選挙で「勝ちすぎた」と言われており、その反動から一定数の議席減は確実との声も聞かれます。安倍総理の悲願である憲法改正の達成のためには与党はこれこそ「負けられない闘い」となるでしょう。

しかし、勢力の低迷が続く野党の中では、与党に対抗するために野党の統一候補を擁立しようとする動きもあります。原発問題や安全保障政策、または消費税など広範なテーマについて意見の大きな違いがあるにも関わらず、それらの党が結集しようとする姿には違和感を覚えます。

国政での自民党はそうした野党を野合だと批判できるはずです。しかし、地方選挙とはいえ大阪で自共という水と油が手を組んでしまっては、野党統一候補への批判が自らに向いてしまい説得力を欠いてしまいます。

「どこかの党が嫌だから」という理由でそれ以外の勢力が結集するのはあるべき姿とは思いません。「私の党が与党になれば、○○を実現します。そのために〇〇が必要なんです」と自分たちが考える理想を正々堂々と掲げて有権者に訴えてほしいものです。その点では、他のどの政党よりも、まだ若手の維新の方が上手かもしれません。

有権者が聞きたいのは、「維新ではダメ!」ではなく「大阪をこうしたい!」愚直な熱意です。

参考記事:

3日付 読売新聞朝刊14版(1面)「知事選討論会」