さあ、楽しい音楽の時間デス♪
ドラマ「のだめカンタービレ」で使われていたセリフです。ギャグ要素とクラシック音楽を織り交ぜながら、変人ピアニストのだめと天才指揮者真一が繰り広げるラブストーリーにすっかりはまってしまいました。疲れを感じた時、ドラマで使われていた名曲、ベートーヴェンの交響曲第7番やチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をきいて心を落ち着かせるのが近年の習慣です。
楽器それぞれの個性を出しながら、協調しあって一つの音楽を奏でるオーケストラ。今朝の日本経済新聞の文化面では、弦楽器の「ヴィオラ」が紹介されていました。
名前を聞いても、どんな音を出すのだろうと、不思議に思った方も多いでしょう。主要なメロディーを弾く機会が少ないため、残念ながら地味な印象が強いともいわれています。オーケストラでは指揮者の右側に配置されていますが、ヴァイオリンと間違えられることも。しかし調べてみると、音楽を奏でるうえで重要な役割を果たしており、奥深い楽器のようです。
高音で華やかなヴァイオリンと低音でずっしりとした重みのあるチェロの間の、中間的な音域をもっています。ソリストとして活動する次世代奏者ディビッド・カーペンターは、「ヴィオラの音は人間の声に近く、バランスが完璧だ」と話します。実際に音を聞くと深みがあり、渋さや温かさなど曲調よって様々な表情を見せると感じました。リズムを刻んだり、ほかの楽器のハーモニーを支えたりするため、誰かを引き立てることが好き、といった性格の人も多いそう。
ヴァイオリンとよく似た姿形ですが、サイズは一回り大きいです。子供用に作られる分数楽器がないため、成長を待ってからでないとはじめられないのも特徴です。そのため、ヴァイオリンから転向したり、ヴァイオリニストになるには始めるのが遅かった方が取り組んだりすることも。「オーケストラが好きになる事典」(緒方英子著)では、「奏者の豊かな経験と見識と深い懐でもって音楽を支える、精神的にも肉体的にも子供では容易に足を踏み入れられることができない、非常にアダルトな楽器なのである」と面白く紹介されていました。
存在感の薄さなどから世界的に有名な「ヴィオラ・ジョーク」もあり、奏者が自らそれを楽しむ、といった懐の広い人もいるのだとか。どうでしょうか。独特の個性が光るヴィオラに少し興味をもってもらえたら、気軽にその音に触れてみてください。
8日付 日本経済新聞 30面 「文化往来 ビオラの可能性開く米の次世代奏者」