18歳少女の勇気に応えるために

リオデジャネイロ五輪で体操女子代表だった宮川紗江選手が、日本体操協会の塚本千恵子本部長らからパワハラを受けたと主張している問題が話題になっています。自ら会見を開き、18歳という若さで取材陣の前に一人でたつ勇気に圧倒された人は少なくないのではないでしょうか。日本大学アメリカンフットボール部の選手の会見を思い出します。

この問題について、今日は各紙が取り上げていました。選手からの訴えを協会は否定しており、意見の食い違いが際立っています。

とはいえ、「家族でどうかしている。宗教みたい」という発言が実際にあったのなら、人として、協会のトップとして、あまりに不適切だと感じました。言うべきではなかったと反省しているとしても、人格否定ともとれるこの言葉一つでハラスメントになりうるのではないでしょうか。

Harassmentの意味は「嫌がらせ」です。明確な定義はありませんが、不快にさせるつもりはなくても相手が不快に思ってしまったら成り立つそうです。

私も、ハラスメントを受けたことがあります。就活を理由にミーティングに欠席したことをきっかけに、提出した課題を添削してもらえなくなり、脅しともとれる発言をされたこともありました。授業に行きたくないとさえ感じました。

大学に一度相談しましたが、声を上げても意味はないと知り、今のところは泣き寝入りの状態です。

今回の体操選手が受けた痛みとは比べものにならないかもしれませんが、立場が上の人から標的にされていじめられる精神的苦痛は相当なものです。

宮川選手へのパワハラ問題については第三者委員会が設置され、調査が始まります。ですが、もう一つ忘れてはならないのは、速見コーチによる該当選手への暴力問題です。日本大学アメリカンフットボール部、日本ボクシング連盟で似たような構図の問題があったこともあり、社会はパワハラに注目しがちだと感じています。

しかし、コーチの暴力について調べることも忘れてはいけません。「無期限の登録抹消」という処分を受けました。被害者であるはずの選手がその処分に不服を申し立てている以上、どのくらいの力で手を挙げたのか。協会が処分を下すほどなのか。なぜ、1年以上前の出来事について今ごろ処分するのか。そうした疑問点を洗い出すことも、選手ファーストには欠かせないと思います。

宮川選手は、会見の中で、「東京五輪を目指し、一から速見コーチとやり直したい」と語っていました。その希望を叶えるためには、原点に立ち返り、暴力問題についても積極的に取り上べきです。

参考記事:1日付 朝日新聞朝刊 13版 36面 (社会) 「塚原本部長ら パワハラ否定」
同日付 読売新聞朝刊 13S版 34面 (社会) 「塚原夫妻 パワハラに反論」
同日付 日本経済新聞朝刊 14版  39面 (社会) 「塚原夫妻「脅す発言ない」」