私は漫画が好きです。
主人公のセリフ、音の表現、そして絵によって個性溢れる作者の世界観にひたることができるからです。今まで、さまざまな作品に感動したり笑ったりと心を動かされてきました。
小学生の時から「コロコロ」や「ジャンプ」などといった漫画雑誌を読み、そこで気に入った作品は単行本を買っていました。最近は忙しく、家でゆっくりと読む時間はあまりないため、インターネットやアプリで購入して楽しんでいます。
そうした私には見過ごせないニュースがありました。人気漫画などの海賊版を無料で読めるサイトに利用者を誘導する「リーチサイト」の運営者数人が著作権法違反で逮捕されたのです。
海賊版の横行は創作や出版に関わる人々に多額の損害を与えます。経済産業省の調査によると、漫画がネット上に無断公開されることによる損失は年間500億円にのぼると推計されます。それでなくても出版不況は一段と深刻になっています。
登場人物の姿や設定、物語のストーリーを考え、さらにそれを実際に描きだして一つの作品を紡ぎ出す。この作業には作者自身はもちろんのこと、アシスタントの方たち、編集者などより良い作品にしようとする大勢の人々の多大な労力がかかっています。その労力に敬意を表し、適切な対価を払って漫画は読むべきです。
今回、問題となったリーチサイトが開設されたのは十数年ほど前のことだそうです。そのような長い間、サイトが存続できたのは、法律で裁くことが難しかったこともありますが、「タダで漫画を読みたい」という利用者が一定数いたからではないでしょうか。
「漫画に特別な思い入れはない」
朝日新聞の「漫画は好きなのか」という問いに対する、運営者の男性の回答です。
漫画が好きではないからこそ今回のような行為に至ったのかもしれません。
漫画を読む人すべてが作品に敬意を持ち、ネット上の海賊版などに手を出さないようになることを心から望みます。
参考記事:
31日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)35面(社会)「海賊版リンク 50万件超」
同日付 読売新聞朝刊(大阪14版)39面(社会)「漫画海賊版に誘導 逮捕へ」
同日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)39面(社会)「海賊版誘導 取り調べへ」