人々の希望って?目に見える具体策を

 ギリシャ神話に登場する「typhonテュポン)」。最大最強の怪物といわれ、暴風雨は巨人がもたらすものとされたため、これが「台風」の語源になったという説もあります。都知事選や都議選に続き、総選挙でも「小池新党」が台風の目となるのでしょうか。

先日のあらたにす(なぜ今、解散?でも衆院選には意義があるでも取り上げられた解散総選挙の話題。昨日、安倍首相が解散を表明する直前に、小池百合子東京都知事が国政政党「希望の党」を立ち上げ、自らが代表の座につくことを発表しました。新党をめぐっては若狭氏や細野氏らが検討を重ねていましたが、「(これまでの議論は)リセットし、私自身が直接絡んでいきたい」と語り、都政で進める改革を拡大するためと強調しました。

これを受け、今朝の日本経済新聞1面のコラム春秋では、

安倍首相も小池知事も、強いリーダーシップで同志をまとめ、国政や都政で「1強」と呼ばれる地位を築き上げた。今後、衆議院で率いる党が対決するとなれば、指導力や手腕が議席数という形でリアルに試される。

と指摘しています。たしかに、自民党と希望の党の2強の争いの様相を呈していますが、政党の流動化は避けられず、「希望の党」では自民党、民進党はじめとする議員の合流が相次いでいるようです。全選挙区での候補者の擁立を目指すといっても、考えがバラバラな人々をただ集めるだけでなく、短い期間であってもしっかりと政治理念を見極めたうえで選ぶ責務があると思います。

もう一つ気になったのは、「希望の党」の政策です。公約を見るとしがらみのない政治、原発ゼロ、情報公開、女性重視、消費税対応などが並んでいます。しかし、具体的な方策や実現への見通しは全く伝わってきません。これまでの選挙でも、待機児童の解消、築地再整備、オリンピック予算の見直しなどを巧みな言葉で訴え、風を吹かせてきましたが、果たして目に見える効果はあったでしょうか。

キャッチ―な言葉に惑わされることなく、とにかく各政党の具体策を細かく見ていきたい。今回、小池氏が掲げた原発ゼロや消費税凍結は決して容易なことではないと思います。実現しようとすれば、たくさんの副作用がでるでしょう。そうした弊害にどのような手段で対応するのか。過程に関する説明がなされているか。本当に実現可能な政策なのか。そういった点に注目し、吟味しながら投票先を考えていきたいです。

 

926日付 各紙「小池氏 希望の党代表に」関連面