今週22日、東京・なかのZERO小ホールで行われた山城博治さんと井筒高雄さんの講演会「共謀罪は絶対廃止!平和に生きる権利のはなし」に行ってきました。沖縄平和運動センター議長の山城さん、元陸自レンジャー隊員で元自衛官と市民有志の団体「ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン(VFPJ)」の代表でもある井筒さんの話を聞こうと集まった人々で、500人の会場はほぼ満席になりました。
山城さんが壇上に姿を見せると、会場からは力強い拍手が沸き起こりました。山城さんは、名護市辺野古への基地建設反対運動では連日のように逮捕者が出ていること、急ごしらえの工事によって東村高江のヘリパッドの一部が大雨で崩落し、米軍への提供のめどが立っていないことなどを挙げ、安倍政権の対応を痛烈に批判しました。
力強い言葉が繰り出されるたびに、聴衆からは「そうだそうだ」という声や拍手が起こっていました。会場を見渡すと中高年層が多い印象で、私は人々が放つ怒りのパワーに完全に気圧されていました。反対運動を続ける沖縄の人々の生の声を聞きたいと思ったのが、講演に行った理由です。
途中で、山城さんは涙交じりに語りました。「いま、ここで話していますけど、いつでもゲートに立ちたい」。「この人は、どこまでも運動家なのだ」と感じました。その心は、ともに闘い続ける沖縄の仲間たちのもとに常にあるのです。
国と沖縄県の対立は深まるばかりです。23日の慰霊の日に行われた追悼式で、翁長知事は国の強行工事などを強く批判しました。一方、国は昨年12月に辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐる裁判で勝訴したこともあり、強気な姿勢を崩しません。朝日新聞は次のように報じています。
政権は翁長氏が7月にも工事差し止め訴訟を起こした場合でも「最高裁で沖縄県の敗訴が確定した以上、翁長氏と話をする意味がない」(官邸幹部)と工事を続行する構えだ。
読売新聞は社説で「辺野古移設は、日米両政府と地元自治体の長年の調整を経てまとまった唯一の現実的な解決策だ」と述べています。解決策かはともかくとして、基地の返還や移設先に関する具体的な方法が定まらないままでは、事は辺野古移設一辺倒で進められるでしょう。
もはや最初から対話をする気がない政権の姿勢には疑問を抱きます。このまま対立を強めていった先に生まれるのは「怒り」のみです。山城さんは「来年1月の名護市長選と来秋の県知事選に向けて、政権は翁長県知事と稲嶺市長への攻撃をもっと激しくするだろう」と述べていました。沖縄県民の意思が選挙でどう示されるのか、今から注目しています。
参考記事:
24日付 朝日新聞朝刊(東京14版)3面「沖縄知事、強く政権批判」
同日付 読売新聞朝刊(東京13版)4面「首相 沖縄負担軽減に意欲」
3面社説「抑止力と負担軽減の両立図れ」