わたしは痴漢被害にあったことがあります。中学１年生の時、登校途中の満員電車の中でした。その時は恐怖のあまり声も出せず、最寄りの駅に着くまでの約１０分間、耐え続けました。何度も周囲に助けを求めようと思いましたが、声を出したらもっとひどい目に遭うのではないかと思い我慢をしてしまいました。同級生にも、痴漢被害にあった人がいましたが、実際に声を上げた人は誰もいませんでした。

女性にとって、痴漢被害を訴えるには大きな勇気を要します。勇気をだして声を出した結果、加害者が逃亡しその後亡くなった時、被害にあった女性はどのような気持ちになるのでしょうか。

１５日、横浜市で痴漢を疑われ、被害女性や他の乗客に取り押さえられた男性がホームで事情を聞かれていた際に、突然走り出しホームに飛び降りました。その後、後続の電車にはねられて亡くなりました。首都圏では、痴漢行為を疑われた乗客が線路に降りるなどして逃走する事件が、３月以降相次いでいるとのことです。１２日にも、逃げた男性がビルから転落し死亡する事件が起こっています。

痴漢は恥ずべき行為です。逃げ出すことは卑怯な行為です。その場から逃げるのではなく、誠意をもって被害者に謝罪すべきだと思います。

しかし、痴漢をしていないのに訴えられてしまう「痴漢冤罪」や痴漢をされたと嘘をつき、示談金を求める、「痴漢冤罪詐欺」が存在することも事実です。インターネットで「痴漢」と検索すると、男性が公共交通機関の中で痴漢と疑われないようにする対策がいくつも出てきます。その中には、両手でつり革を持つ、満員電車を避けるというものから、公共機関をなるべく使わないというものまでありました。

女性も男性も公共機関を安心して使えないというのは悲しいことです。いつか、痴漢という行為自体がなくなり、誰もが安心して公共機関を使えるようになることを心から望みます。

参考記事：
同日付　読売新聞朝刊（大阪１４版）３０面（社会）「痴漢疑われ線路へ飛び降り」