8月15日、69回目の終戦記念日を迎えました。同時に韓国では日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」式典が行われ、韓国の朴槿惠大統領が演説を行いました。
演説の中で朴槿惠大統領は日韓関係改善に向けて肯定的な発言をしていますが、慰安婦問題について日本政府が解決に向けて具体的な措置を講じることを要求しています。これに対して日本政府は「法的に解決済み」という立場を維持する方針を表明しています。その根拠は1965年の日韓請求権協定に基づくものですが、韓国政府は慰安婦問題については例外である、と主張しており未解決問題として改めて解決を求めています。
しかし慰安婦問題の発端といえる、吉田清治氏の「慰安婦狩り」証言の記事を朝日新聞が誤りを認め撤回したことにより日韓の溝は一層深まっていくように思えます。自民党有志でつくる議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」では河野談話の取り消しを求める声も多く、河野談話は継承しようとする政府に対しては新たな談話を策定するよう働きかけるようです。朝日新聞の慰安婦問題を巡る記事撤回に対して韓国政府、メディアは一貫して「組織として強制的な連行があった」という認識を改める様子はありません。韓国国内では元慰安婦の証言を重要視しており、吉田氏の証言がなくても強制連行は実証可能であるとみなされているからです。一方のみの証言で結論を出す議論が妥当であるといえるのでしょうか。双方の言い分を確認しあい食い違いを指摘することで初めて正しい解釈が生まれるはずです。現状では韓国側の言いがかりといっても仕方がありません。
反日感情を利用し、国民の支持を得てきたとも言われる朴政権。軽視すべき問題ではありませんが慰安婦問題を政権運営のために利用し、日韓関係を悪化させて自国の利益を害するようでは国家の長としてふさわしくありません。必要以上の強硬策は両国のために改めるべきではないでしょうか。
東アジアという地域の一員として中国、韓国という隣人に対して、未来を見据えた友好的な関係を築くためには“両国間”で歩み寄らなければなりません。一方が相手に向かって歩を進めてもそれには限界があります。両者がどれくらい歩み寄れるかが大事です。両者が離れていては声は届きません。お互いが限界まで近づいて初めて声が届くのです。その手段の一つである首脳会談が早期に開催されることを期待します。
【参考記事】
8月16日 朝日・讀賣・日経朝刊