天下りあっせん問題 オープンな取り組みを

 以前、あらたにすの投稿「天下りあっせん その当たり前はおかしい」(1月20日)でも扱った文部科学省の再就職あっせん問題。この問題について衆議院予算委員会の集中審議が行われました。事実が発覚してから引責辞任した前川前次官が国会の場で説明するのは初めてです。

 質疑を通じて、組織ぐるみで天下りのあっせんを行う体制が作られていたこと、その方法が明らかにされました。具体的に、文部科学省がOBを介在させる形で行っていたようです。現行の国家公務員法では、現職公務員によるあっせんを禁止しています。ですが、OBのあっせんを禁じる規定はありません。法律違反と判断されないようにするため、この法律の「抜け穴」を利用しようとしていたことがわかりました。今後、規制強化のための法案作りは焦点の一つになるでしょう。

 残念ながら、規制してもどこかに抜け道は残っているものです。官僚が再就職することは決して悪いことではないと思います。自分の能力を発揮し、活躍できるのならばそれは望ましいことです。大学で行政学を勉強することがあります。実際に、官庁で働いていた方や政策に携わっていた経験がある講師の人の話は勉強になります。再発防止のため、OBを介して誰がどこに天下ったのか公開するべきです。個人名だけでは不透明なので、採用された人はどのような側面で評価されたのかを、簡単に公表することはどうでしょうか。

 また、再就職を受け入れた大学や法人が巨額な補助金を交付されていたことはなかったか、業務委託など優遇はないのかはっきりさせる必要があります。もしも官僚の再就職を受け入ず、それが原因で補助金において冷遇されていた事実があれば見逃すことはできません。

 今後、文部科学省は引き続き調査を行い3月末には結論を出すそうです。こうしたオープンな取り組みが、不公正な人事をなくしていくための一歩になるかもしれません。

参考記事:8日付 各紙 文部科学省 天下り問題 関連記事