「コト」を買っているんだ!

あけましておめでとうございます。本年もあらたにすをどうぞよろしくお願いいたします。

 年が明けると、筆者のインスタグラム(画像共有サービス)のタイムラインには、渋谷スクランブル交差点のカウントダウンの様子や、横浜の観覧車、初日の出の写真がずらりと並びました。リビングで知らない間に寝ていた筆者とは大違いの2017年を友人たちは迎えたようです。年が明ける前の大晦日には、1年の思い出の写真をコラージュにした投稿が多く見られました。それぞれが思い思いの瞬間を写真で共有しています。

 新年一発目は、若者の買い物の楽しみ方が変わってきたことについて書いていきます。大人からは「お金を使わなくっている」と揶揄されます。しかし「そんなことはないし、楽しんでいるんだ」と主張したいと思います。筆者は、大人やメディアから「コト」にお金をかけることは変だ、と捉えられているように感じています。

 ミレニアル世代と呼ばれる1980年から2000年ごろに生まれた若者は、「モノ」への執着心が低く、仲間と「コト」を楽しむ風潮が強いとされています。確かに、自家用車よりもレンタカー、持ち家よりも賃貸マンションという考えの人が多いかもしれません。しかし、だからと言って、楽しんでいないわけではありません。友人と人気のピザを食べに行ったり、旅行へ行ったり。その時間と思い出にお金を使い、写真を撮りSNSに投稿することで、他の友人とも楽しさを共有しているのだと思います。さらにデジタルネイティブ世代ならではのフォトジェニック(写真映えするよう)な経験を求めようとします。

 昨年8月に新潟県長岡市の花火大会に行ったときのことです。友人3人と車で向かい、浴衣を着て、前売券で買っておいたテーブル席につき、新潟の地酒を開けました。次の日にはひまわり畑を訪れ、宿泊した旅館では普段食べることのないような食事をいただき、温泉を満喫しました。2泊3日の旅行で撮った写真は800枚以上。その写真を厳選し、全員がそれぞれのインスタグラムに投稿しました。この旅行で買った手元に残るものは、神社のお守りだけです。それでも「コト」と時間にお金を費やし、いつでもスマホを見返せば、簡単に思い出にアクセスすることができます。

 「モノ」として残らなくても、プライスレスな「コト」をしたいのです。自分たちで計画を立て、何をするかで個性を出しています。

 筆者世代がバブルの感覚をわからないように、大人たちに「コト」重視の感覚をわかってもらうのは難しいかもしれません。しかし、多くの若者が自分たちなりに生活を満喫し、楽しんでいます。それをどうか見守ってください。

 今年もタイムラインに素敵な写真が溢れる一年になりますように。

参考記事:
1日付 読売新聞朝刊(東京13版)「コトを買う イケてる感」17面(くらし)